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2023.06.20

ワークパンツの世界的な定番「Dickies(ディッキーズ)874®」の魅力

アメリカテキサス州のフォートワースは、商業と文化の中心都市ダラスと双子都市に当たる。1922年、この地で「Dickies(ディッキーズ)」ははじまり、101年間労働者向けのワークウエアを作り続けている。
そんなDickiesの長い歴史と名品「ORIGINAL 874® WORK PANTS(オリジナル 874® ワークパンツ)」のお話を、VFジャパン株式会社 ディッキーズ MARKETING MANAGERのSam Fitzgerald(サム・フィッツジェラルト)さんに伺った。

帽子づくりからワークウエアの仕立てにシフトしDickiesは生まれた

「もともとは1918年に創業者であるC.N.ウィリアムソン氏とE.E.ディッキー大佐が帽子製造を開始したことがすべての始まりです。そこから1922年に彼らは、労働者の服装を仕立てる仕事にシフトしました。
その後は一貫して労働者のためのワークウエアを作り続けています。当時は『BIB OVERALL(ビブ オーバーオール)』からスタートしまして、その後ワークウエア全般を手がけるようになりました。
1930年代の大恐慌時代の影響も受けず順調に成長し続け、1940年代の第2次世界大戦時にはアメリカ政府から軍向けに900万着のユニフォーム製造の受注があり、1時的に消費者向けの生産を停止していたという時代もあったそうです。
そして1950年代には中東の石油会社でもDickiesのワークウエアが採用され、『テキサス生まれの丈夫なワークウエア』として評判になり、中東のみならずヨーロッパでも展開されるようになっていきました」
向かって左がC.N.ウィリアムソン氏、右がE.E.ディッキー大佐
向かって左がC.N.ウィリアムソン氏、右がE.E.ディッキー大佐

名品ORIGINAL 874® WORK PANTSが誕生

その後Dickiesの代表的なアイテムとして世界中で半世紀以上も愛される名品「ORIGINAL 874® WORK PANTS」が発売される。発売当時から近代までの874®をなぞりながらお話しいただこう。
「1967年に874®が発売されます。採用されたTCツイルと呼ばれる生地はポリエステル65%とコットン35%というブレンドで耐久性に優れ破れにくいと話題になり、すぐにベストセラーとなりました。
この874®は以前からあったDickiesのワークパンツのさまざまなディティール、たとえば太いベルトループなどのデザインも落とし込み、丈夫なTCツイル生地で作り上げるというアイテムです。そしてそのデザインは50年以上経った今でもほとんど変わっていません」

1990年代、日本でもDickiesの大ブームがおこる

1994年ごろ「Dickiesのチノパン」と呼ばれ874®は大ブームとなる。独特の生地の硬さとタフさ、どれも日本の若者には新鮮に映った。ここからは1990年代というキーワードから874®を紐解いていこう。
「1990年代、874®の流行に牽引され、他のアイテム。『BIB OVERALL(ビブ オーバーオール)』、『EISENHOWER JACKET(アイゼンハワー ジャケット)』、『WORK SHIRTS(ワーク シャツ)』なども人気アイテムとなっていきます。これらはDickiesの定番といわれるアイテムで今も昔も、日本で人気のアイテムと本国アメリカで人気のアイテムは実はほとんど同じなんです。
これには、『N.W.A(エヌ・ダブリュ・エー)』、『Snoop Dogg(スヌープ・ドッグ)』、『Cypress Hill(サイプレス・ヒル)』といったウエスト・コースト・ヒップホップアーティストたちが、MVなどでDickiesをファッションとして着用していたことが、理由のひとつと思います。
しかし、それはヒップホップだけではありませんでした。西海岸のパンク、ハードコア、メタルのアーティストやファンたちもDickiesを着用していました。
また、1990年代には、スケートボーダーがDickiesを愛用するようになりました。スケーターは、転んでも大丈夫なタフで手頃なパンツを求めていたのです。
彼らのような、アメリカのスターたちは日本でも人気なので、彼らが身にまとうことで国によって人気の出るアイテムにも差が出なかったのではないでしょうか。ヨーロッパや他のアジアの国々では独自の人気アイテムもありますが、ミュージックやさまざまなカルチャーと絡むと日本とアメリカのファッション感覚はとても近いものがありますね」
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