一粒に宿る2年と数千層:土居真珠が語る真珠養殖の仕事
2026.02.25
一粒に宿る2年と数千層:土居真珠が語る真珠養殖の仕事
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真珠は、完成した姿だけを見れば静かで美しい存在だ。しかしその一粒の内側には、貝に施される“手術”と、養生の時間、そして1年、2年という長い歳月がある。
日本有数の真珠産地・愛媛県宇和島で養殖を行う土居真珠は、「どれだけ手をかけても、最後は開けるまで分からない。それが真珠づくり」と語る。自然と向き合い、不確かさを引き受けながら生まれる真珠づくりの現場を訪ねた。
PROFILE|プロフィール
土居 一徳(どい かずのり)

有限会社土居真珠 代表取締役社長

1974年 愛媛県宇和島市生まれ
宇和島東高校・東京水産大学(現東京海洋大学)卒
真珠科学研究所勤務後、宇和島へ帰郷
現在、有限会社土居真珠 代表取締役
1997年 真珠科学研究所認定【パールマスター】取得
2005年 有限会社土居真珠 代表取締役就任
2007年 ANA感動案内人
2009年 愛媛県漁連三浦漁協青年漁業者協議会会長
2009年 愛媛県青年漁業者連絡協議会理事
2021年 宇和島真珠販売業組合副組合長

真珠は分業で生まれる 宇和島という産地

宇和島は、日本国内で生産される真珠の約3〜4割を占める一大産地だ。穏やかな内海と入り組んだリアス海岸は、アコヤ貝の養殖に適した環境をつくり出してきた。だが、真珠養殖は一人の職人、あるいは一つの会社だけで完結する仕事ではない。

アコヤ貝を育てる業者、核を作る業者、養殖を行う業者、そしてその後の加工や選別を担う業者。それぞれが役割を分担しながら、一粒の真珠が世に出るまでを支えている。

「全部を一人でやろうとすると、時間も体ももたない。だから産地として、役割を分担してきました」

長い時間と膨大な労力を要するからこそ、分業という形が選ばれてきた。宇和島の真珠産業は、豊かな自然環境と高度な技術を活かした養殖工程において、地域が一体となって高品質な真珠を育む仕組みの上に成り立っている。