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2024.09.13

“世界一美しい図書館”を目指す、入手困難な希少本を扱うパリのファッション専門書店「エフェメラ」

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モードの聖地パリに今年2月、ファッション愛好家向けの新スポット「エフェメラ(Ephemera)」がオープンした。パリ初のファッション専門書店で、レアなアイテムを中心とした品揃えが魅力だ。
入手困難な"The Face"や"i-D"、「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」の川久保玲が発行した雑誌「シックス」の全8号、アレッサンドロ・ミケーレが「グッチ(GUCCI)」在任中に編集した限定出版物などを扱う。さらに、カタログ、ルックブック、ポスター、ファッションショーの招待状、希少なVHS映像なども取り揃える。
これらはすべて、創設者パスカル・モンフォールが30年以上かけて収集したもの。パリのコンサルティング会社「REC」責任者である彼は、ファッションの歴史を物語る貴重な資料を大切に保管してきた。
なぜ自身の宝物を販売するのか。「エフェメラ」設立の経緯や、現代における雑誌と書店の価値について、ファッションへの深い愛情を持つパスカルに詳しく聞いた。
PROFILE|プロフィール
パスカル・モンフォール(Pascal Monfort)
パスカル・モンフォール(Pascal Monfort)

フランスのファッションスクールを卒業後に、ファッションの歴史と社会学を専門とした教授に就任。その後は大手コンサルティング会社に勤務し、その後、仏新聞紙レキップ(L'Équipe)が発行するスポーツ&スタイルの雑誌の編集長を務めた。2014年に独立し、ファッション、ビューティー、スポーツ分野の主要企業にアドバイスを提供するコンサルティング会社「REC」 を設立。同社の10周年のイベントとして、個人的に収集してきたファッション関連書籍を扱う書店「エフェメラ」をオープンした。

世界で一番美しい図書館を目指す

「エフェメラ」をオープンしたきっかけについて教えてください。
私が経営している、コンサルティング会社RECの10周年を祝うため、イベントの開催を企画していたんです。パーティーのような通常のお祝いではなく、多くの人に楽しんでもらえて、事業の中心であるファッションの研究に関連したイベントにしたいと思いました。
そこで、私が長年蓄積してきたファッション関連の資料を集めた書店「エフェメラ」を3ヶ月限定でオープンすることにしました。すぐに大きな反響を得て、現在は期間限定ではなく正式な書店として運営しています。
「エフェメラ」で販売する書籍や雑誌、VHS、ポスターなどのアイテムは、パスカルさんの個人コレクションですよね。いつから収集を始め、そのきっかけは何だったのでしょうか?
私のコレクションを構成する約12,000アイテムのうち約1,500を「エフェメラ」で展開しています。収集し始めたのは、11歳頃だったかな。フランス北西部の小さな町で生まれ育った私にとって、雑誌という存在が唯一ファッションへの世界に繋がる手段でした。
1980〜90年代の話なので、もちろんインターネットやSNSはありません。雑誌が買える場所も、キュレーションされた書店ではなく、コーヒーが立ち飲みでき、タバコが売られている、フランスでは主流の大衆的なコーヒースタンドでした。
当時の私はスケートボードをしていたのですが、偶然手に取ったファッション誌に心を惹かれ、収集するようになりました。スケボー仲間には“ファッション誌を読むなんて女っぽい趣味”だと笑われましたが、ファッションへの情熱が高まると同時に、その情報源である雑誌と書籍に夢中になったんです。
その情熱に従い、学校でもファッションを学び、ファッション業界へと入ったのですか?
フランスのファッションスクールで服飾史を学び、首席で卒業しました。するとすぐに、ファッションの歴史と社会学の教授として仕事のオファーを受け、卒業後24歳からはヨーロッパのいくつかのファッションスクールに従事し、個人的にもファッションの研究を続けていました。もちろん、書籍などの収集も継続しながら。
その後、大手ファッションブランドのコンサルタントに転職しました。新しい職場での初日に、パリにオープンしたコンセプトストアを見に行ってきてほしいと言われ、足を運びました。それが、伝説的なコンセプトストア「コレット(Colette)」のオープン日だったんです。
“コンセプトストア”という新しい業態を開拓したこのお店に、私は衝撃を受けました。当時のファッション誌に掲載されている、ファッション業界人が熱狂するすべての洋服が陳列されており、ビューティーとカルチャー、スポーツに関連したコーナーがあり、店内の音楽はクレイジー。そして、ブックコーナーの素晴らしいセレクトと陳列方法で、新たな世界への扉が開かれたような気持ちになりました。
私は数年間コンサルタントとして働いた後、レキップ紙(フランス全土で発刊される日刊のスポーツ新聞)のスポーツ&スタイルの編集長を3年間務めました。その時に受け取ったファッションショーの招待状などもすべて大切に保管していて、その一部を「エフェメラ」で販売しています。そして10年前に独立して、コンサルティング会社「REC」を立ち上げたのです。
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