モードの聖地パリに今年2月、ファッション愛好家向けの新スポット「
エフェメラ(Ephemera)」がオープンした。パリ初のファッション専門書店で、レアなアイテムを中心とした品揃えが魅力だ。
入手困難な"The Face"や"i-D"、「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」の川久保玲が発行した雑誌「シックス」の全8号、アレッサンドロ・ミケーレが「グッチ(GUCCI)」在任中に編集した限定出版物などを扱う。さらに、カタログ、ルックブック、ポスター、ファッションショーの招待状、希少なVHS映像なども取り揃える。
これらはすべて、創設者パスカル・モンフォールが30年以上かけて収集したもの。パリのコンサルティング会社「REC」責任者である彼は、ファッションの歴史を物語る貴重な資料を大切に保管してきた。
なぜ自身の宝物を販売するのか。「エフェメラ」設立の経緯や、現代における雑誌と書店の価値について、ファッションへの深い愛情を持つパスカルに詳しく聞いた。
PROFILE|プロフィール
パスカル・モンフォール(Pascal Monfort)
フランスのファッションスクールを卒業後に、ファッションの歴史と社会学を専門とした教授に就任。その後は大手コンサルティング会社に勤務し、その後、仏新聞紙レキップ(L'Équipe)が発行するスポーツ&スタイルの雑誌の編集長を務めた。2014年に独立し、ファッション、ビューティー、スポーツ分野の主要企業にアドバイスを提供するコンサルティング会社「REC」 を設立。同社の10周年のイベントとして、個人的に収集してきたファッション関連書籍を扱う書店「エフェメラ」をオープンした。
世界で一番美しい図書館を目指す
「エフェメラ」をオープンしたきっかけについて教えてください。
私が経営している、コンサルティング会社RECの10周年を祝うため、イベントの開催を企画していたんです。パーティーのような通常のお祝いではなく、多くの人に楽しんでもらえて、事業の中心であるファッションの研究に関連したイベントにしたいと思いました。