1987年東京都生まれ。額縁職人。大学時代に趣味だった近代絵画の鑑賞から額縁に興味を持ち、職人の道へ。大学卒業と共に富士製額で修業を積み、同工房で職人として働いている。
あまり知られていないのですが、東京額縁は150年以上の歴史を持つ伝統工芸品です。
明治時代に日本に洋画が入ってきたことで、絵画が日本画と洋画に分かれました。そこから額縁も、西洋から入ってきた洋額縁と指物から発展した和額縁に分かれていきます。
西洋では石膏で固めて装飾を作ることが多い洋額縁ですが、日本で量産される際に、落雁などの和菓子に使われる木型の職人が型を彫り、胡粉(ごふん)と膠(にかわ)と布糊(ふのり)で固めた粘土で型抜きして装飾を作るようになりました。菊の花、葉、唐草などの和風模様も取り入れて、日本独自に発達しました。
1947年に文京区根津で創業しました。現在は東京都荒川区で、額縁を制作し続けています。もともとは、指物工房の跡を継いだ創業者が、漆の技術を生かした海外向けの写真用の額縁を制作したのが始まりです。現在は、油彩・水彩・日本画の額縁など、制作範囲を拡げて、3代目の吉田 一司が会社を継いでいます。
当社の特徴は、1階に木工部門があり、2階で額縁の装飾から仕上げ、額装を行っていること。東京額縁を作る会社がほとんど残っていない状況で、木材加工から一貫して制作できるのは富士製額だけです。画廊、画商、額縁屋、アーティストなどの要望に応える形で、経験や技術を生かし、フルオーダーで額縁の制作、絵を額に入れる額装や額縁の修復等を行っています。