
1982年生まれ。英国留学を経て大学を卒業後、食器メーカーや呉服店で商品開発・営業等に従事。2011年奥順株式会社に入社。現在は代表取締役社長。
奥順の歴史は、明治40年に奥澤さんの曾祖父が創業したことに始まる。もともとは教育者の家系だったが、商売への情熱から親戚の呉服問屋で修業を積み、のれん分けの形で独立したという。
「本当に商売が好きだった人みたいで。体が不自由になってもできるだけ店の前に立ち、生産者である機屋さん(はたやさん)と話すのが好きだったと聞いています。元気になったら何がしたいかと聞かれたときも、やっぱり商売がしたいと答えたそうです」
創業者の商売への情熱は、生産者との対話を重んじる姿勢に表れている。この精神は、生産工程が細かく分業化され、多くの職人との連携が欠かせない結城紬の産地問屋としての礎を築いた。デザインの考案から職人への発注、そして完成品の販売までを一手に担う奥順の役割は、単なる商取引にとどまらず、産地の生産活動そのものを支える重要な機能を持っている。