Fashion Tech News symbol
Fashion Tech News logo
2023.10.19

「HUNTING WORLD(ハンティング・ワールド)」と「DESCENTE.LAB(デサントドットラボ)」が示す新しいラグジュアリーのかたち

1965年に冒険家ロバート・M・リー(通称:ボブ・リー)氏によってニューヨークで創立された「HUNTING WORLD(ハンティング・ワールド)」と、スポーツウエアブランドである「DESCENTE(デサント)」が自由な発想で新たな価値の創造を目的に発足した「DESCENTE.LAB(デサントドットラボ)」が共作した「HUNTING WORLD CRAFTED BY DESCENTE.LAB(ハンティング・ワールド クラフテッド バイ デサントドットラボ)」が2023年秋冬シーズンよりスタートした。
これは「HUNTING WORLD」がブランド創設から半世紀を超え、ブランドの未来を見据えた新たなプロジェクトとして「DESCENTE」をブランドパートナーに迎え、実現したものだ。このプロジェクト誕生のストーリーをデサントジャパン株式会社 クリエイティブディレクター山田満氏に聞いた。
©Robert M.Lee HUNTING WORLDの創立者ロバート・M・リー
©Robert M.Lee HUNTING WORLDの創立者ロバート・M・リー

ブランド創設から半世紀、次の50年に向けてのプロジェクト

「『HUNTING WORLD』の『BATTUE(バチュー)』というブランドを代表するシリーズが、2022年、50周年を迎えました。ラゲッジブランドとしての印象が強いHUNTING WORLDですが、次の50年を見据えたときにアパレルラインを強化したい。そこで我々に新しいことを一緒にやらないかというお話をいただき、それが今回のコレクションにつながりました。
私は、DESCENTEに25年間在籍し、これまで水沢ダウンやALLTERRAINの担当をしてきました。昨年、ALLTERRAINが10周年を迎えたことで、一旦ALLTERRAINから離れることを決意し、デサントブランドの未来に向けた新しい取り組みを行うべく、DESCENTE.LABという新しい試みをスタートさせたばかりでした。そんなタイミングでいただいたお話しでしたので、HUNTING WORLD CRAFTED BY DESCENTE.LABというかたちでこのプロジェクトに着手することになったんです。
このDESCENTE.LABはゼロイチ開発をするということと、我々がこれまで築き上げた知見や技術、企画力を生かして、これまでにない新しい価値、ビジネスモデルを創造するという目的がありましたので、HUNTING WORLDからのオファーにDESCENTE.LABとして取組ませていただくことになったんです」
HUNTING WORLDでもっともアイコニックな「バチューサーバス」のキャリーオール
HUNTING WORLDでもっともアイコニックな「バチューサーバス」のキャリーオール

オーセンティックとテックアパレルの融合

HUNTING WORLDとDESCENTEの異なる2つのブランドを融合させるキーワードとはなんだったのか、デザインワークに取り組むところからお話を聞かせていただいた。
「私たちはスポーツの会社で、これまでテックアパレルを中心に企画開発を行ってきました。HUNTING WORLDというラグジュアリーで、アメリカンヘリテージのブランドとうのは言うなれば真逆のブランド。彼らのオリジンへのリスペクトとともに、我々の強みであるテックの部分は捨てずにやっていきたいと考え、2ブランドの親和性を探すことからスタートしました。
HUNTING WORLDは歴史のあるブランドなので、ブランドのアーカイブの資料をいただいたり、ボブ・リー氏がブランドを立ち上げたときの文章を読ませていただきました。彼らが大切にしているクラフトマンシップの根幹にあるボブ・リー氏のものづくりの哲学は、私たちと共通するものだと感じ、その似ている哲学を手掛かりに、オーセンティックとテックアパレルという異なる2つのものを融合させていきました」

水沢ダウンを生産する水沢工場で生み出す新しいプロダクト

ファーストコレクションとなる今シーズンは全9型がリリースされるが、その中からいくつかピックしていただき、アイテムを説明していただこう。
「最初に今シーズンの注力アイテムとなる『シンセティックスエード 1000FP ダウンジャケット』の話をさせていただきたいのですが、このスエードは人工皮革でできていて裏に防水透湿のフィルムを貼り合わせた3層構造になった素材です。北陸の会社と製作したオリジナル素材で、機能性を重視する上で、素材の持つ役割は大きく、機能とラグジュアリー感を併せ持った素材になったと思います。
そして商品名にもなっている1000FP(フィルパワー)[1]の羽毛ですが、700 FPや800 FPという数字は目にすることがあるかと思うのですが、この羽毛は、我々が手がける多くのダウンジャケットの中でも最高品質の羽毛になります。これは単に最高品質な羽毛を求めたというものではなく、体の動作によってダウンパック内で動いた空気を高い反発力ですぐに回復させるという新しいダウンパックの構造、性能を生かす上で一番理にかなったものという理由で選定しています」
水沢ダウンを作るデサント水沢工場
水沢ダウンを作るデサント水沢工場
1 / 2 ページ
この記事をシェアする