2023.08.09

1961年創業のアメリカンカスタムシャツメーカー「INDIVIDUALIZED SHIRTS（インディビジュアライズドシャツ）」の魅力に迫る

アメリカの高級カスタムシャツメーカー「INDIVIDUALIZED SHIRTS（インディビジュアライズドシャツ）」はmade in USAを貫き通すブランドのスタンスとクオリティの高さに、ファッション好きの中でも知識豊富なツウなファンが多いブランドだ。

今回は株式会社メイデン・カンパニーINDIVIDUALIZED SHIRTSジャパンディレクターの早野海さんにオーダーシャツのお話をいろいろと伺った。

オーダーシャツが日本よりもポピュラーなアメリカ

「INDIVIDUALIZED SHIRTSは1961年にアメリカニュージャージー州パースアンボイというマンハッタンの近くにある街でスタートしました。ジョン・ラレスカ氏とジョージ・ジマーマン氏の2人で立ち上げたカスタムシャツメーカーです。

アメリカは、仕立て＝カスタムタテーラリングが日本よりもポピュラーに行われていて、テーラーショップもアメリカ中にたくさんあるのですが、INDIVIDUALIZED SHIRTSは普通のカスタムシャツとは違うんです。創業者の2人は、1960年代のアメリカのカスタムクロージングに画期的なシステムを作り出しました。

カスタムシャツは普通、採寸をして一人のシャツ職人がすべて縫いあげるという流れが一般的だったなか、INDIVIDUALIZED SHIRTSは既製品のシャツを量産するようにオーダーを取り、それぞれの顧客のシャツを分業で縫っていくという仕組みを作りました。たとえば腕だけを縫う人、襟だけを縫う人、というようにライン分けして一着のシャツを分業で作る体制です。

現在、工場には200人ほどの仕立て職人がいて、分業制によって取り組むことで、劇的にスピーディーにお届けできるようになったというのが非常に画期的な事でした」

ニュージャージー州パースアンボイにあるINDIVIDUALIZED SHIRTSのファクトリー

ブランドである前にマニュファクチャラー

創業当初からカスタムシャツメーカーとしてカスタムオーダーを中心に展開してきたINDIVIDUALIZED SHIRTS。日本で展開される事でブランドにも変化があったそうだ。

「日本に大々的に入ってきたのは1990年代ごろです。アメリカではカスタムオーダーが中心なのですが、当時日本ではシャツのカスタムオーダーというものがまだまだ一般的ではなかったので、既製品を安定供給させ、カスタムオーダーと既製品の両方で展開してきました。

最初は、既製品を買われてINDIVIDUALIZED SHIRTSを好きになっていただき、のちにカスタムオーダーに移行していくというお客様が多いですね。この日本用に充実させた既製品がもたらす効果というものありまして、INDIVIDUALIZED SHIRTSというブランド名が有名になったのは日本がきっかけのひとつでもあるんです。

アメリカではブランドである前にマニュファクチャラーという思いがあり、マンハッタンのサックスフィフスアベニューなどの有名百貨店をはじめ、さまざまな名店といわれる洋服店のシャツのメイドトゥメジャー（採寸をした上でその人の服を製作すること）を請け負ってきたので、出来上がったシャツはその屋号のネームがつけられる場合があります。

サックスフィフスアベニューからの受注だとこの百貨店のタグがつくので、そこにINDIVIDUALIZED SHIRTSのブランドネームはつかないんです。なので常にINDIVIDUALIZED SHIRTSのネームがついた既製品を展開している日本の役割は大きいといわれています」