%20(1).webp?w=400&fm=webp)
1992年生まれ、和歌山県出身。2014年同志社大学卒業後、大手繊維商社に入社。その後、2018年より家業であるカネマサ莫大小㈱のモノづくりの精神に感銘を受け、入社。国内外ハイメゾンを中心に新規開拓を進め、自社のテキスタイルコレクションに大きな手応えを感じる。
2020年クラウドファンディングにて初のDtoCを試み、900万円以上の応援金額を達成し、翌年ファクトリーブランドKANEMASA PHIL.をローンチ。
2025年 TOKYO FASHION AWARD 2025 受賞。
カネマサ莫大小の歴史は1964年、百間谷さんの祖父が編み機を導入したことから始まる。日本一の丸編み産地である和歌山において、同社の創業は後発組に属する。しかし、理系のバックグラウンドを持つ創業者は、単に生地を編むだけでなく、編み機自体に手を加え、他社には真似のできない生地を生み出すことに情熱を注いだ。この「カネマサにしかできないものを作る」という姿勢は、「ユニークなものづくり」という今なお同社の根幹を成す理念となっており、絶え間ない技術革新の出発点となった。
創業者の精神は、現社長である父(2代目)へと受け継がれる。商社出身で機械には直接触れないものの、「ユニークなものづくり」への探求心は形を変えて加速した。この挑戦のひとつの到達点が、同社の代名詞ともいえる、たくさんの針を使って高密度に編まれる「ハイゲージ」技術である。
ニットの世界で使われるゲージとは、編み機の針の密度を示す。一般的なTシャツが18ゲージから28ゲージ程度であるのに対し、カネマサ莫大小では最大46ゲージという、世界でも類を見ない超高密度の編み機を駆使する。1インチ(約2.5cm)の間に46本もの針が並ぶこの機械は、極めて繊細な調整とメンテナンスを要するが、そこは同社の職人による高い技術力が支えている。
「編み機1周に約4,300本もの針が配置されていて、そのうちたった1本でも傷があれば生地に響き、B品となるんです。この膨大な数の針を一本一本抜いて目で見て確認し、傷を見逃さないというのも、A品を作り続けるためには必要なことなんです」
また 約20年前から「プルミエール・ヴィジョン」といった国際的なテキスタイル見本市にも積極的に出展し、海外市場へもその名を広めている。これら先駆的な取り組みの積み重ねが、カネマサ莫大小を「ハイゲージニッター」としての確固たる地位へと導いたのである。