400年の技を未来へつなぐ:清原織物が語る“つづれ織”の真価と進化
2026.01.22
400年の技を未来へつなぐ:清原織物が語る“つづれ織”の真価と進化
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400年にわたり、つづれ織という高度な手織り技法を受け継いできた清原織物。つづれ織は、爪で糸を寄せて模様をつくる古来の織物で、深い陰影や繊細な曲線、鮮やかな面表現を可能にする。皇室献上品から重要文化財指定された祭の幕、さらには現代美術や海外ブランドとの協業まで、清原織物の仕事は時代を超えて広がり続けている。
静謐な作業場で紡がれる技術の背景には、いかにして工芸が“生き延びるか”を問い続ける思考があった。今回はその哲学と挑戦の軌跡を聞いた。
PROFILE|プロフィール
清原 聖司(きよはら せいじ)
清原 聖司(きよはら せいじ)

株式会社清原織物 代表取締役(第11代)

1976年 滋賀県生まれ
1998年 東京農業大学オホーツクキャンパス 生物産業学部 産業経営学科卒業
地元工務店にて勤務。伝統工法による住宅建築の設計施工・現場管理に従事
2014年 清原織物入社
2017年 全国伝統的工芸品産業大賞 活性化部門功労賞
2017年 グッドデザイン賞 受賞
2023年 グッドデザイン賞 特別賞グッドフォーカス賞(堀田カーペット社と協業)
2025年 第5回日本和文化グランプリ入選

400年続く家業を継ぐという選択

清原織物の歴史は室町末期にさかのぼる。創業期の詳細は残っていないものの、清原家が織物業に携わっていたことは古文書からも確認され、明治6年には「清原商店」として旗揚げした記録が残る。京都・御室から滋賀へ移転した後も、皇室献上品や全国の祭礼幕、寺社仏閣の装飾など、晴れの場を彩る織物を手がけてきた。

しかし代々続く工房といっても、豪壮な蔵があるわけではない。清原さんは「サバイブし続ける家だった」と笑う。戦争やバブル崩壊など何度も経済の波に直面しながら、“残すべきは技術”という一点だけを頼りに家業はつながれてきた。

建築業界で長く働いていた清原さんは、もともと家業を継ぐつもりはなかった。家族も誰も彼が継ぐとは思っていなかったという。ただ、職場で「自分の裁量が届かない部分」を感じ始めた頃、ふと家業を見つめ直した。誰も継ぎ手がいない工房。自分が入れば、いずれはすべてを自分の判断で動かせる。「好きにできる未来がある」と思った瞬間、工芸への興味が一気に開いた。

そして2年をかけて転身。技術ゼロからのスタートだったが、“残すために動く”という明確な意志だけはあった。