職人が作るからこそ叶う“切れ味”
黒鳥鍛造工場は、土佐を代表する鍛冶屋だと伝えられている本家黒鳥(川島家)の分家として創業した。当時は、造林鎌・枝打ち鉈など、地域の人々の生活に必要な林業用の刃物を主に製造していたそうだ。
農具や漁具、生活用具などを作る鍛冶屋は「野鍛冶」と呼ばれ、使う人の用途に合わせて大きさや重さなどを考えて道具を作るのが特徴だ。同社も野鍛冶スタイルで、製造からメンテナンスまで一貫して対応している。
「弊社の根底にある、林業用刃物の丈夫な作りや切れ味を生み出す技術を生かし、野鍛冶として地域の人々の要望に応えながら進化してきました。現在は、形状や重心の変更などの細かな要望にも対応しながら、その方のニーズに合う実用的な刃物を製造しています」
コロナ禍以降、インバウンド需要も高まっており、依頼内容によっては2年待ちになることもあるそうだ。
というのも、同社では必要に応じて機械を取り入れつつも、製造のほとんどを手作業で行う。1日あたり鍛造は50本、焼きは200本ほど対応するそうだが、熱処理をして研ぐ作業に少し時間がかかるため、1日に完成するのは10本ほどだという。