老舗鍛冶屋「黒鳥鍛造工場」の職人技が光る、切れ味抜群の土佐打刃物
2025.06.09
老舗鍛冶屋「黒鳥鍛造工場」の職人技が光る、切れ味抜群の土佐打刃物
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高知県の山間部に工場を構える鍛冶屋「黒鳥鍛造工場」。包丁や鉈、アウトドアナイフなど、多彩な刃物を手がけるその工場では、150年にわたり職人の技が受け継がれている。
同工場の土佐打刃物は、高温に熱した金属材料を叩いて延ばし、自由自在に形を作る自由鍛造で作られている。山林用・農業用の実用的な道具がルーツであることから、切れ味だけでなく、耐久性の高さや手入れのしやすさも特徴だという。
手作業にこだわり、現代の大量生産とは一線を画すその技術は、料理人や猟師、さらにはキャンパーたちの間でも評判を呼んでいる。今回は、同社・代表の梶原さんに、職人が作る刃物の特徴や製造方法、土佐打刃物の魅力について伺った。
PROFILE|プロフィール
梶原 弘資(かじはら ひろし)

黒鳥鍛造工場 六代目
昭和54年生まれ、高知県四万十町生まれ。大工や板金工といった職人仕事を経験した後、家業である「黒鳥鍛造工場」の六代目に。
若手鍛冶師の人材育成にも積極的に取り組んでいる。

職人が作るからこそ叶う“切れ味”


黒鳥鍛造工場は、土佐を代表する鍛冶屋だと伝えられている本家黒鳥(川島家)の分家として創業した。当時は、造林鎌・枝打ち鉈など、地域の人々の生活に必要な林業用の刃物を主に製造していたそうだ。

農具や漁具、生活用具などを作る鍛冶屋は「野鍛冶」と呼ばれ、使う人の用途に合わせて大きさや重さなどを考えて道具を作るのが特徴だ。同社も野鍛冶スタイルで、製造からメンテナンスまで一貫して対応している。

「弊社の根底にある、林業用刃物の丈夫な作りや切れ味を生み出す技術を生かし、野鍛冶として地域の人々の要望に応えながら進化してきました。現在は、形状や重心の変更などの細かな要望にも対応しながら、その方のニーズに合う実用的な刃物を製造しています」

コロナ禍以降、インバウンド需要も高まっており、依頼内容によっては2年待ちになることもあるそうだ。

というのも、同社では必要に応じて機械を取り入れつつも、製造のほとんどを手作業で行う。1日あたり鍛造は50本、焼きは200本ほど対応するそうだが、熱処理をして研ぐ作業に少し時間がかかるため、1日に完成するのは10本ほどだという。
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