新しいトレンドが生まれては消えていき、常に新しさを渇望するファッションの世界にも、普遍的なものがある。
ワードローブで息長く愛されるアイテムとして好例なのが、「LOUIS VUITTON(ルイ ヴィトン)」のボストンバッグ“スピーディ”だ。
2023年6月に発表された、新メンズ クリエイティブ・ディレクターのファレル・ウィリアムスによるデビューコレクション、2024年春夏シーズンのランウェイでは、ゴールドの分厚いチェーンとダイヤモンドが散りばめられ、南京錠を備えた“スピーディ”が脚光を浴びた。
最も広く認知されているブラウンカラーのモノグラムではなく、赤や青と原色でポップに生まれ変わったアイキャッチーなバッグは、店頭に商品が並ぶと同時に争奪戦になるのが容易に想像できる。
そもそもこの“スピーディ”はどのように誕生し、長きにわたり愛されているのか。歴史を振り返ってみたい。
“スピーディ”の誕生と発展の裏にいる2人の女性
1854年、世界最初の旅行用トランク専門店として開業した「LOUIS VUITTON」。移動手段が馬車から船や機関車に替わると考え、積み重ねやすい蓋が平らなトランク型の旅行かばんを世に送り出し、高く評価された。