この包丁を持つと、気合が入る──賛否両論・笠原将弘が語る「相棒」の条件
2026.04.10
この包丁を持つと、気合が入る──賛否両論・笠原将弘が語る「相棒」の条件
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笠原将弘にとって、包丁は単なる調理器具ではない。料理を成立させるためにある設計思想の、最初の入り口だ。
食材の繊維の断ち方、刃の入れ方、力の抜き加減。素材の音や感触を確認しながら行う判断の積み重ねが、皿の完成度を決定づける。切れ味や素材との相性以上に、どのように包丁と向き合い、どのように使い続けてきたかが、料理人の哲学を雄弁に物語る。
今回、日本料理店「賛否両論」店主・笠原将弘が、長年使い続けてきた一本の包丁を通して、自身の料理観と美学を紐解く。

一番長く一緒にいる道具

笠原が「相棒」として挙げたのは、刺身を引くための柳刃包丁だった。

「結局、営業中に一番手にしている時間が長いのは、包丁なんですよね」

数ある道具の中でも、包丁は料理人の仕事の中心にある。笠原が長年使い続けているのは、京都・錦市場の包丁店「有次」の柳刃包丁だ。だが、その名前を語る口調に、親しみを込める。

「いろいろな価格帯の包丁を持っている中で、これが一番、自分の手に合っているんです」

切れ味よりも、「体にフィットするか」

包丁選びというと、多くの人が「切れ味」を基準に考える。だが笠原は、少し違う視点を持っている。

「切れ味って、正直、自分で研げばどうにでもなるんですよ」

それよりも大事なのは、重さとバランス。極端に重すぎても、軽すぎても、手は疲れる。

「自分の体にフィットするかどうか。結局、そこが一番なんです」

包丁は、料理人の体の延長になる道具だ。だからこそ、手にした瞬間の違和感は、積み重なって大きな差を生むことになる。