「本野はきもの工業」が作る、現代のライフスタイルでも履きやすい日田下駄
2024.09.02
「本野はきもの工業」が作る、現代のライフスタイルでも履きやすい日田下駄
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広島県福山市や静岡県静岡市と並び、下駄の三大産地のひとつとして称される大分県日田市。日田市で製材された木を使い、日田市で製造された下駄は、「日田下駄」と呼ばれている。日常履きを目的として作られていることから、軽く、歩きやすいのが特長だという。
およそ180年の歴史があると言われている日田下駄だが、その製造を担う工房は減りつつある。そのようななか、本野はきもの工業では自社で一貫して製造できる体制を整え、未来へと日田下駄の歴史を紡いでいる。
今回は、同社で代表を務める本野さんに、同社の取り組みや日田下駄の魅力などについて話を聞いた。
PROFILE|プロフィール
本野 雅幸(もとの まさゆき)
本野 雅幸(もとの まさゆき)

1981年9月19日生まれ(現在42歳)
ブログのタイトルで使った『下駄王子』が愛称として使われている。

24歳でサラリーマンを辞め、家業の手伝いを機に日田下駄の魅力に気づく。日田下駄を沢山の人に知ってもらいたいと思い、色々な活動を行う。
☆日田もりあ下駄い(下駄を履いてダンスを踊るチーム)
☆各種メディアに取り上げてもらう
☆映画の衣装として使用される(実写版ヤッターマン、無限の住人)
☆日田の情報発信番組(インターネット配信)『ALL BY 日田』の代表として10年間生配信

■イベント出展経歴
新宿伊勢丹 夫人靴売り場にてイベント
新宿高島屋 呉服売り場にてイベント
福岡大丸天神店 1階売り場にて単独催事
イタリアミラノでイベント
その他、九州各地で物産展・職人展に出展
イオン九州各店での催事
2015年5月、2016年5月 地元日田市で、『日田焼き』との二人展開催
フランス ジャパンエキスポに2015年7月出展
2016年 『LEXUS NEW TAKUMI PROJECT 2016』(主催:トヨタ自動車株式会社および全国のレクサス販売会社)において”全国の若き匠52名”の一人に選出(大分県代表)

実際に触れることで、日田下駄の魅力に気付く

まず、御社について教えてください。
弊社は日田下駄を製造・販売している工房で、1948年に創業しました。今は2代目の父と母、3代目の私と妻の4人で経営を行っています。

もともと、両親は自分たちの代でこの工房をたたむつもりで、私も継ぐ予定はありませんでした。しかし、私が一般企業に勤めていたときに工房を手伝う機会があり、そのときに日田下駄の魅力を知って。もの作りをする面白さを感じたので、継ぐことにしました。

どのような魅力を感じたのでしょうか?
職人たちの思いやこだわりが詰まっているところです。私は、小さい頃から下駄が身近にあったので、細かな工程まであまり意識したことがありませんでした。下駄は材料を磨いて、塗って、鼻緒を付けたら完成だと思っていたのですが、そんなに簡単なものではなくて。

職人さんたちの作業風景をちゃんと見るようになってから、完成するまでにいろいろな背景があることに気付いたんです。下駄の奥深さを知って、改めて魅力を感じるようになりました。

また、カジュアルなスタイルにも合わせられることに気付きました。現代ではスニーカーが一般的になっていて、下駄はどんどん履く機会がなくなってきていますよね。“どうすれば履いてもらえるのか”を考えるようになってから、より一層もの作りを楽しめるようになりました。
御社が作っている下駄の特徴を教えてください。
弊社の下駄の特徴は、地元で採れた杉を使っていることです。オリジナルのデザインで作っている下駄も多く、商品数が豊富だと思います。

目指しているのは、ライフスタイルに溶け込める下駄です。特別な履き物ではなく、カジュアルに普段履きとして取り入れてほしいと思っているので、新しい商品を作るときはそういった点を意識しています。

また、作るときには、どういう人がこの下駄を履くのかな、履きやすいと言ってもらえたらうれしいな、といったことを考えながら作業にあたっています。

面白いデザインの下駄が多いですよね。どういう発想から生まれたのでしょうか?
私の実家が下駄を作っていることを知っている友達が、「こういう下駄があったら面白いよね」「こういう下駄があったら履きたいよね」と、以前からいろいろな案を出してくれていました。

家業を継ぐまでは、それを形にする機会がなかなかなかったのですが、自分自身がもの作りに携わるようになってから、いろいろな職人さんとの出会いがきっかけで、そのアイディアを具現化することができるようになったんです。

また、さまざまな企業からお声がけいただき、映画の衣装として採用されたり、有名ブランドのオリジナル下駄を製作したりと、コラボレーションも実現しています。

コラボレーションをさせてもらうと、今まで下駄に関心がなかった方にも知ってもらう機会になるので、とてもありがたいですね。
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