

一般社団法人「染の里おちあい」代表理事。リクルート社での勤務を経て地域活動に関わるようになり、「染の小道」代表などを歴任。2017年に法人を設立し、2020年に創業100年の染工房を事業承継。江戸更紗・江戸小紋の技術継承や職人育成、地域文化の発信に取り組む。
西武新宿線中井駅のそばを流れる荒川の支流、妙正寺川。川沿いの小道を歩くこと数分。
江戸更紗や江戸小紋などを手がける工房、染の里おちあいに辿りつく。
新宿区落合・中井は染物の街。最盛期には、染屋や染物関連の業者など、300軒以上が軒を連ねていた。
「もともと、神田に染物屋が集まる紺屋町があったんです。1万円札で有名な渋沢栄一さんは、埼玉・武州で藍玉を作り神田の紺屋町に売り込んでいたほどの一大拠点でした。でも1923年に起きた関東大震災の火災で川で作業ができなくなり、染屋さんが一斉にこの落合・中井の地に越してきました。
染の里おちあいの前身である株式会社二葉苑の創業は1920年。戦時中は軍需工場として傘を作っていたこともある。型染めの染屋として、江戸小紋や江戸更紗の染物を作り続けてきた。
「江戸小紋は糊を置いて1枚の型紙で送っていきます。それに比べると江戸更紗は30枚ほど型紙を重ねていくので、手間のかかる染物です。なので、江戸更紗の工房はほとんど残っていないんです」
二葉苑が江戸更紗を手がけ始めたのは、3代目の小林文次郎がきっかけ。イギリス、フランスで展示会を開催した際に、江戸更紗を大判で染めたことで、80年代からは江戸更紗が好きな職人が集まるようになった。
「二葉苑は、職人がやりたいことに挑戦する風土が強かったんです。手描き友禅、江戸更紗、江戸小紋など、それぞれの職人が好む染物を取り入れていきました」
