西陣織・引箔の革新ー古箔から広がる楽芸工房の時空を超えた旅路
2025.06.23
西陣織・引箔の革新ー古箔から広がる楽芸工房の時空を超えた旅路
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西陣織で300年以上受け継がれる伝統技法、引箔(ひきばく)を製造する楽芸工房
初代から続く創造性と自由な気風を受け継ぎ、人との出会いを大切に新たなものづくりに挑戦している。今回は滋賀県大津市の工房を訪ね、創作への想いや革新的な取り組みについてお話を伺った。
PROFILE|プロフィール
村田 紘平(むらた こうへい)
村田 紘平(むらた こうへい)

1977年京都生まれ。楽芸工房の3代目で伝統工芸士。引箔の本質を守りつつ、素材や道具、デザインに創意工夫を凝らし、新しいものづくりに挑戦している

受け継がれる “異端” の精神ー楽芸工房の原点

事業とその始まりについて教えてください。
私の祖父が1890年代後半、京都・西陣で箔屋「村田商店」を創業しました。その後、伯父が営業を、父・村田輝義が製造を担い、1971年に株式会社化。1989年には村田商店の直営工房として有限会社楽芸工房を設立し、引箔の製造を続けています。300年以上前に生まれた引箔の技術を、私たちは今も守り続けています。

祖父も父も豊かな発想力を持ち、元々は絵描きを目指していました。西陣といえば織物ですが、祖父は織りではなく、箔で描くことを選びました。

父は「変わり者」と呼ばれ、組合や周囲から批判されることもありました。それでも、西陣織の芸術性と高度な技術を継承しつつ、伝統工芸の枠を超えて幅広い分野で新しいものづくりに挑戦。国内外の市場に向けて革新的なデザインを提案してきました。

家業を継いだきっかけや経緯をお聞かせください。
幼い頃から職人の世界は叩き上げで厳しいイメージがあり、跡を継ぐことは考えていませんでした。高校卒業後の春休み、忙しい家業を手伝うことになり有名ハイブランドのディスプレイテーブルの銀箔貼り作業に携わりました。それが伝統産業に対する「古臭い」というイメージが「かっこいい」に変わった転機でした。自社工房で西陣織を学び、大学卒業後は大阪のアパレル会社に勤め、流通を学ぶために営業を経験。その後、家業を継ぎました。
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