世界が認める越前打刃物——龍泉刃物が切り拓く新たな新境地
2025.08.11
世界が認める越前打刃物——龍泉刃物が切り拓く新たな新境地
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福井県越前市を中心に作られている伝統的な金工品「越前打刃物」。日本古来の火づくり鍛造技術、手研ぎで作られており、薄くて軽い、丈夫で切れ味が長続きする、刃こぼれしにくいなどの特徴を持つ。約700年の歴史があり、刃物産地として全国で初めて国の伝統的工芸品に指定された代物だ。
包丁やカトラリーなどの製造販売を手掛けている「株式会社 龍泉刃物」では、120年以上にわたりその歴史を紡いできた。当初は問屋を通してビジネスを展開していたが、近年は独自ブランドを立ち上げ、国内外から評価を得る企業へと大きな成長を遂げている。
国を越えて多くの人から支持される同社の刃物には、どんな魅力があるのか。4代目社長の増谷さんに話を伺った。
PROFILE|プロフィール
増谷 泰治(ますたに たいじ)
増谷 泰治(ますたに たいじ)

福井県越前市出身。創業から71年を迎える龍泉刃物の4代目。OEMからの脱却・自社ブランドの確立を決意し、顧客のニーズに合わせた高品質で独自性の高いRYUSENブランドの開発・製造に注力。手仕事にこだわり続け、切れ味を決める仕上げの刃付けを主に担当している。

包丁のプロデュースにおいては、シェフからの意見を取り入れながら独自のハンドルを開発し、デザインと機能性の両立を常に意識したモノづくりを心掛けている。

業界随一の腕前を持つ先々代の技術を受け継ぐ

龍泉刃物の歴史は、1901年にスタートした。増谷さんの祖父にあたる先々代が、刃付け業を営んでいたのがはじまりだ。

「会社を立ち上げたのは、2代目の父です。父はいろいろな鍛冶屋さんのもとで研ぎなどの仕事をしていたのですが、『うちでステンレス包丁を作ろう』と、ステンレス鋼を使用した包丁の研究・開発に着手したんです。ダマスカス包丁(木目のような波紋模様が特徴の包丁)と呼ばれる包丁の製造で事業を拡大していきました」

龍泉刃物では、伝統技法を基本にしたステンレス複合鍛造包丁の製造販売を全国に先駆けてスタート。これは業界初の取り組みだったそうだ。

「その後、2008年に兄が3代目社長に就任し、ステーキナイフやステーショナリーなど、製造する刃物の幅を広げていきました。私が4代目に就任したのは、創業70周年のときです」

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