福井県越前市出身。創業から71年を迎える龍泉刃物の4代目。OEMからの脱却・自社ブランドの確立を決意し、顧客のニーズに合わせた高品質で独自性の高いRYUSENブランドの開発・製造に注力。手仕事にこだわり 続け、切れ味を決める仕上げの刃付けを主に担当している。
包丁のプロデュースにおいては、シェフからの意見を取り入れながら独自のハンドルを開発し、デザインと機能性の両立を常に意識したモノづくりを心掛けている。
龍泉刃物の歴史は、1901年にスタートした。増谷さんの祖父にあたる先々代が、刃付け業を営んでいたのがはじまりだ。
「会社を立ち上げたのは、2代目の父です。父はいろいろな鍛冶屋さんのもとで研ぎなどの仕事をしていたのですが、『うちでステンレス包丁を作ろう』と、ステンレス鋼を使用した包丁の研究・開発に着手したんです。ダマスカス包丁(木目のような波紋模様が特徴の包丁)と呼ばれる包丁の製造で事業を拡大していきました」
龍泉刃物では、伝統技法を基本にしたステンレス複合鍛造包丁の製造販売を全国に先駆けてスタート。これは業界初の取り組みだったそうだ。
「その後、2008年に兄が3代目社長に就任し、ステーキナイフやステーショナリーなど、製造する刃物の幅を広げていきました。私が4代目に就任したのは、創業70周年のときです」