亘 章吾:吉野檜と身体が対話する、自然を宿す曲木の美
2025.08.14
亘 章吾:吉野檜と身体が対話する、自然を宿す曲木の美
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吉野檜と曲木、直線と曲線、人工と自然とが最良の関係性で織りなす美しさを、曲木(まげき)造形という新たな表現方法で探求する亘 章吾。今回は制作拠点である京都のアトリエを訪れ、お話を伺った。
PROFILE|プロフィール
亘 章吾(わたり しょうご)
亘 章吾(わたり しょうご)

1987年、京都生まれ。岐阜県高山の森林たくみ塾で指物技術を身につけた後、アイルランドに渡り特殊な曲木技法を習得する。帰国後、中川木工芸比良工房で伝統的な木桶制作に従事。2021年曲木造形作家として独立し、国内外で作品を発表している。

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回り道が拓いた、ものづくりの道標

木工の道に進むきっかけを教えてください。

家業は代々、木材業を営み、幼少期はゲームをするより山にある木材倉庫や自然の中で遊んでいました。今のアトリエは、かつての祖父の作業場です。

学生の頃はファッションに興味があり、洋服のリメイクや、バッグ、レザーの財布を制作。また大学時代から登山が好きでよく海外に旅していました。

大学卒業後は約5年間アパレル業界で働きますが、自然とものづくりに関わる仕事がしたいと思いを巡らせていました。

27歳のとき、登山の道すがら山麓にある山小屋風レストランを訪れ、オーナー自作の家具や小物を見て、その瞬間、幼少期の原体験やものづくりへの憧れといった点と点がつながり、木でものづくりをするため、家具職人になることを決めました。

2014年から2年間、森林たくみ塾で、釘を使わずに木材を組み合わせてつくる伝統的な木工技法、指物(さしもの)技術を習得。得た経験や学びについて教えてください。

森林たくみ塾は、実践力を身につけられると思い直感的に選びました。実際に販売する製品を学びながらつくりますが、入塾して初日から手がパンパンになるまで小物を磨くなど、訓練の毎日でした。

「100年かけて育った木は、100年使えるものへ」という理念のもとで木工の基礎を学び、今では、作品が100年間そのかたちをとどめる気概でものづくりをしています。

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