
オリエンタルカーペット株式会社 代表取締役社長
青山学院大文学部英米文学科卒。地元テレビ局を経て1991年にオリエンタルカーペットに入社。企画部長、総務部長、常務を経て2000年に専務に就任し、06年から社長を務める。
「この会社は1935年に創業しました。この山形の小さな町に、中国から7人の職人を招いたのが始まりです。当時は不況と凶作で、女性の働く場所をつくりたいという先代の思いから立ち上げました」
渡辺社長は、築80 年を超える木造社屋を見上げながら語る。淡いピンク色の外壁は「女性の仕事場の象徴」でもあるという。この建物は登録有形文化財に指定され、今も現役の工房として稼働している。
戦時中は羊毛が手に入らず、創業者が葛の根を糸にして織りを再開。戦後はGHQやマッカーサー夫人が訪れ、皇居やバチカン宮殿にも納入した。「踏まれる芸術」としてのじゅうたん──その哲学は、創業当時から変わらない。
