大島紬を未来へ:一貫生産で挑戦を続ける夢おりの郷・南晋吾さんの覚悟
2025.10.13
大島紬を未来へ:一貫生産で挑戦を続ける夢おりの郷・南晋吾さんの覚悟
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奄美大島の伝統工芸「大島紬」。世界に類を見ない精緻な織物として知られる一方、後継者不足や職人の工賃問題など、多くの課題に直面している。そうした現状に真正面から取り組むのが、「夢おりの郷」3代目の南晋吾さん。糸づくりから織りまでの一貫生産を守りつつ、観光事業や新たな商品開発にも挑戦。伝統を守りながら革新を続ける南さんに、大島紬にかける思いを伺った。
PROFILE|プロフィール
南 晋吾(みなみ しんご)
南 晋吾(みなみ しんご)

株式会社夢おりの郷 代表取締役社長

受け継ぐことの葛藤と決意

「夢おりの郷」は創業から67年。南さんの祖父が築き、父が引き継ぎ、今は南さんが3代目として工房を率いています。

しかし、この継承の道は決して一直線ではありませんでした。南さんの父はもともと東京で工学を学び、家業を継ぐつもりはなかったといいます。けれども長男が経営に向かず、奄美へ呼び戻される形で家に入ることに。そして南さんもまた、同じ葛藤を抱えていました。

「子どもの頃から“いずれは継ぐんだろう”という空気はありました。でも両親からは強制されることもなく、自分の道を探せと言ってもらっていたんです」

全国展開の呉服会社で働き始め、当時は業界最大手の売り上げを誇っていたものの、まさかの倒産。安定を求めていた就職先が崩れたとき、「帰るなら今だ」と26歳で故郷に戻る決断をしました。葛藤を抱えながらも奄美に戻り、家業を引き継ぐ決意を固めた南さん。そこには「伝統を絶やしてはいけない」という使命感と、「一度離れたからこそ見える価値」がありました。