歴史的に見ると、質の高い鉄器は誰もが気軽に手にできるものではありませんでした。特に南部鉄器は、藩主への献上品や、参勤交代の際に他の大名への土産物として用いられるなど、 権力や富の象徴としての側面を持っていました。
また、一般の家庭においては、堅牢で長く使えることから家の財産として大切に扱われ、母から娘へと受け継がれる「嫁入り道具」の代表格でもありました。そこには、新しい家庭での暮らしが豊かであるようにという、親の願いが込められていたと考えられます。
この時代の南部鉄器は、日用品であると同時に、家の格式や家族の絆を象徴する特別な存在でした。
