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2020.12.18

有名人の「分身」も実現、さらには人生1000年も可能に?バーチャルヒューマンの描く未来(後編)

以前当メディアでも紹介したバーチャルインフルエンサーは、今や一般に浸透しつつある。先日話題となった、刃物メーカー貝印株式会社の「#剃るに自由を」の広告に起用されているのもバーチャルモデルのMEME、つまり実在しないバーチャルヒューマンだ。あるいは、実在の人物を象ったバーチャルヒューマンも存在している。今年ローンチされたホリエ・ロイド・タカフミ(以下、ホリエ・ロイド)もその一つの例で、彼はホリエモン、つまり堀江貴文のバーチャルヒューマンである。
上述のホリエ・ロイドや、当メディアでも紹介した男性のバーチャルインフルエンサー、リアム・ニクロを開発、運用しているのが株式会社1SEC(ワンセック)だ。彼らはいかにしてバーチャルヒューマン(注:バーチャルモデル、バーチャルインフルエンサーを含めた総称として本記事ではこの語を中心的に使用する)の開発を実現してきたのか?また、その戦略とビジョンはどのようなものなのか?そして、バーチャルヒューマンとは一体何なのか?今回は1SECのCEO宮地氏とCOO中村氏にお話を伺った。
左:CEO宮地氏/右:COO中村氏
左:CEO宮地氏/右:COO中村氏

バーチャルヒューマンのアイデンティティ

リアム・ニクロのファッションにはどのようなこだわりがあり、ファッションによってどんなことを発信しているのでしょうか?
宮地ファッションは根本的にはストリートに寄せています。彼のファッションというか、発信していくこと全般に通ずる部分に、マイノリティのことを扱うということがあります。今後もしかするとジェンダーレスのことについても語っていくでしょうし、一方で例えば、大きなメディアが紹介する前にリアムがオーストラリアの火事だとかアマゾンで何が起きてるとかっていうのをポストで投稿しています。
そういう、民主制が具体的に届いてないところってたくさんあるじゃないですか。そういう様々な具体的な問題を代弁者として発信していければいいなとちょっと思ってまして。彼は炎上してもいいんですよ。
バーチャルモデルが流行ってきているので、ファッションにもつなげていきたいんですけど、それは1つのアプローチの仕方にしかすぎなくて。彼が伝えたい少数派の意見を代弁しているアイデンティティをファッションにつなげる時に、ストリートっぽいなと思ったんですね。なのでストリート系の服を着用しています。
マイノリティの声もそうですし、芸能人などの発言が炎上してしまって追い詰められるみたいなことがたくさんありますよね。それがちゃんと彼なら言えるという。
宮地はい、彼なら代弁しやすいかなと。日本で、日本の政治や海外の政治のことなどを発言すると、綺麗事言うなよ、みたいなこと言われたりするムードがあると思うんですが、こういうことに挑戦していきたいというところもあります。
彼は温暖化のことを考えていて、そういうのも綺麗事と言われるんですけど、あえて発信し続けていきたいです。リアムのユーザーは10代が多いので、若い世代の人たちに届けられるような、彼の見た目はフェイクですけどやっていることはちゃんと本物であって、本質的なところを届けていきたいと考えながら運営してますね。
彼にはインスタでDMを送ることができて、返信は現状1SECのスタッフさんがご対応してるということなんですが、今後フォロワーさんとリアム・ニクロやほかのバーチャルヒューマンの間で築いていきたい関係のようなものはありますか?
宮地コミュニケーションはAIでできる部分もあるんですけど、そのキャラクターのファッションセンスだったり、キャラクターが日々何を感じて何を思ってどういう生活をしているのかというところを発信していくことが重要だと思います。
今は人がアナログでやりとりを運用していますけども、後々は色々な人とのやりとりをAIでディープラーニングしていけばある程度の幅広いコミュニケーション、そのキャラクターの特性に合わせたコミュニケーションというのが違和感なくできてくるんじゃないかなと思っています。
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#Virtual Human
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