今、目に見える形で変貌を遂げている風景のひとつがファッションストリートだ。これまで、都市のファッションに敏感な人々は自らの趣味/志向に合わせてストリートに足を運んでいた。しかし、以前のファッションストリートと、ECの台頭やコロナウイルスの蔓延を経た現在の様子には、明らかに違いがある。
そもそもファッションストリートは、なぜ様々な店舗を集めて、独自のスタイルを形成していくのだろうか?そして、ECサイトの普及やテクノロジーの進化、社会情勢に合わせて、ストリートはどのような変貌を遂げていくのだろうか?このようなストリートの現在/未来について、都市社会学を専門に文化生産と都市成長について研究する熊本県立大学総合管理学部の三田知実准教授に話を伺った。
PROFILE|プロフィール
三田知実|MITA TOMOMI
1978年神奈川県生まれ。熊本県立大学総合管理学部総合管理学科准教授(社会学)。
立教大学グローバル都市研究所特任研究員。
博士(社会学)。修士(都市科学)2002年立教大学社会学部社会学科卒業。2005年東京都立大学大学院都市科学研究科修士課程修了。2012年立教大学大学院社会学研究科博士課程後期課程修了。専門は都市社会学。現在の研究テーマは、東京都渋谷区神宮前を中心とした都市細街路「裏原宿」における衣料文化生産と不動産投資。住宅街とファッショナブルな商業地区が両立してきた要因と過程について研究を行ってきた。
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まず、三田先生の研究関心について教えてください。
これまでの研究をまとめると、大きく分けてふたつあります。ひとつめは、渋谷区神宮前の都市細街路「裏原宿」の文化的変容についてです。裏原宿は1980年代後半から1990年代初頭にかけての土地資産バブルの盛衰により、住宅街から、衣料デザイナーやセレクトショップが入居する低層ビルが立ち並ぶファッションストリートへと変容しました。 それと同時に裏原宿は、地元住民が下支えする、高級衣料デザインのグロ―バルな拠点として機能していることを、文化生産と都市社会学の観点から考察づけました。