「遠赤外線」と聞くと、こたつやヒーターのような「体を芯から温めてくれるもの」というイメージを持つかもしれない。しかし、その遠赤外線が、うだるような暑さの中で「涼しさ」をもたらしてくれるとしたら、どうだろうか。
なぜ遠赤外線で冷却という、私たちが想像する機能とは真逆の効果を発揮することができたのか。その秘密と開発背景を、同社取締役の當山美喜夫さんとR&D事業部課長の佐藤有美香さんに伺った。
テラヘルツ鉱石の着想は意外な商品から
同社はグループ会社の東光リミー株式会社と共に、繊維の卸しだけでなく、工場と顧客を繋ぐパイプ役も担ってきた。スポーツ衣料をはじめ、さまざまな分野で機能性のある素材を探すなか、思いがけない出会いがあったという。「2014年頃、冬物の衣服で目ぼしいものがないかと探していたら、電熱シートの入ったベストやジャケットが人気だと知り、さっそく僕たちも調査を始めました」(當山)
市場に出回っている商品の多くが、シートの電熱線の断線やバッテリーのトラブルなど、安全性に不安があるものが多かった。そこで、同社は電熱線に頼らない安全な発熱方法として、半導体技術を応用し、遠赤外線を放射させる手法を模索していく。