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雨中の登山を自由に: モンベルの「ストームクルーザー」が 目指す全天候型シェルの究極形
1982年に誕生したモンベルの「ストームクルーザー」は、「雨中の登山でも行動の自由を失わない」、そんなテーマに一貫して向き合ってきた。追い求めてきたのは、着た瞬間に実感できる軽さと、動き続けられるという確かな安心感だ。
雨天時はもちろん、さまざまな天候下で快適に着用でき、行動そのものを制限しない── それがこのジャケットの商品コンセプトである。時代ごとに新しい素材や構造を取り入れながら進化を重ねてきたストームクルーザーは、モンベルが長年磨いてきた「Light & Fast(軽量と迅速)」「Function is Beauty(機能美)」というコンセプトを、高い純度で体現する存在だ。本記事では、そのスペックや開発背景をPR担当の宝迫氏への取材を通して紐解いていく。
PROFILE
宝迫 哲史(ほうさこ てつし)
株式会社モンベル広報部
店舗スタッフを経験後、広報部に異動し、PR担当に。好きなアクティビティは登山とクライミング。休日は岩場でクライミングを楽しむ。

40年以上にわたってアップデートが繰り返されてきた大定番
ストームクルーザーの開発背景にあるのは、悪天候を「避ける」ではなく、「行動の一部として受け入れる」という発想だ。「登山のシーンでは、天候の変化そのものが判断や行動を左右する。だからこそモンベルは、雨を防ぐだけではなく、着用したまま山を歩くことができ、正確な判断を邪魔しないウエアを重視してきました。
ファーストモデルは、当時としては先進的だった防水透湿素材・ゴアテックスを使用した登山用のレインウエアでした。その後も軽量化や着心地の向上を軸に改良を重ね、1980年代後半のモデルチェンジでは大幅な軽量化に成功しました。ゴアテックスを使ったウエアとしては当時最軽量を誇りました」

2000年代に入ると止水ファスナーの採用などで耐候性が高められ、2010年代には独自のパターン設計・K-Monoカットが導入された。
2025年春、スーパー ドライテックをまとった最新モデルが登場
そして昨年、第10世代となるモデルがリリースされた。「最大の変更点は、素材をゴアテックスから、モンベル独自の防水透湿素材・スーパー ドライテックへと切り替えたことです」
この素材は耐水圧20,000mm以上、透湿性40,000g/m2・24hrsという高い性能を備えながら、着用時のしなやかさを重視して設計されたモンベル独自の防水透湿素材だ。
一般的に、強い雨に必要とされる耐水圧は1,500mm程度とされている。その点、耐水圧20,000mm以上という防水性能を持つこの素材なら、台風クラスの強雨にも対応できる計算になる。さらに登山では、バックパックが接触する肩や背中に大きな圧力がかかるため、2,000〜10,000mm相当の耐水圧が必要とされるが、この素材にはその条件を十分に上回る防水性能が備わっている。
「雨や風を確実に防ぎつつ、行動量の多い登山中でもウエア内の蒸れを効率よく外へ逃がすことで、快適な状態を保ちます。さらに3レイヤー構造を採用することで、軽量性と耐久性のバランスも最適化しました」
結果、レインウエアとしての信頼性を確保しながら、着ていることを忘れるような自然な動きが可能になった。

独自の縫製技術とパターン設計で防水性と動きやすさを向上
スーパー ドライテックの性能を底上げするのが、スマートソーイングとK-Monoカットという2つの技術だ。「スマートソーイングは、生地を縫い合わせる際に生じる余分な縫いしろを極力排除し、必要最小限の構造で仕上げることで、軽量化と防水性を高める縫製技術です。表側に縫い糸が露出しない構造のため、強度を確保しながら、肌当たりが良くなるメリットも期待できます。また、シームテープ処理も最小限に抑えられるので、着心地もしなやかになります」

一方のK-MONOカットは防水性と動きやすさを根本から支えるモンベル独自のパターン設計だ。
「ジャケット全体を一体感のある構造で設計して、縫製箇所を極限まで減らすことで、水の浸入リスクを抑えます。さらに、肩や腕といった可動域の大きい部分でも突っ張りを感じにくく、腕上げや体のひねりといった動作に追従します」

アウトドアウエアに不可欠なタフさも一級品だ。
「表地には、高い強度を備えたバリスティック® ナイロンを採用しています。従来のナイロンと比べ、同重量であれば約2倍の引き裂き強度を持つこの素材は、軽量性を維持しながら、岩場やバックパックとの接触といった登山特有の負荷に耐えることを可能にします」
裏地には極めて保水しにくい特殊なナイロン糸を高密度で編み上げた生地を使用している。袖通しの良さとしなやかさを備え、雨天時でも肌に張りつきにくい、サラッとした着心地を実現している。

形状から配置まで、考え抜かれたディテールワーク
一つひとつのディテールは、すべて「行動中にスムーズに使えること」を前提に設計されている。その象徴となるのが、身頃に配置された大型ポケットだ。バックパックのショルダーハーネスやテープと干渉しにくい位置に設計されているため、歩行中でもアクセスしやすい。フロントには止水性に優れたアクアテクト®ジッパーを採用し、フラップを省くことで浸水を防ぎながら、スムーズな開閉を実現している。

さらに、トライアクスルフードは簡単な調節で高いフィット感を得られ、顔の動きに追従しながら視界を確保する。モンベルのアウターの多くに見られるパッカブル機能も備わっている。まさに細部の積み重ねによって、行動の自由度が高められているのだ。

ストームクルーザーの改良は、机上の理論だけで進められてきたわけではない。
「開発段階では、生地単体での性能試験に加え、実地テストを繰り返し行い、雨量や風、長時間の着用といった過酷な条件下での挙動を確認してきました。登山では、天候だけでなく動作や装備との相互作用が快適性を左右するため、実際の使用環境に近い形での検証が欠かせません」
そうしたテストに加え、長年にわたって寄せられてきたユーザーの声も、進化を後押ししてきた要素である。蒸れにくさや動きやすさへの評価は、世代を重ねるごとに磨かれてきた。

モンベルのオールウェザー(全天候型)クロージングの思想を体現
ストームクルーザーの完成度は一度で到達したものではなく、世代ごとに改良を重ねながら、防水性と動きやすさの最適解を更新し続けてきた結果なのだ。性能の追求そのものが目的化していないのも特筆すべき点だ。登山者が自然の中で判断し、行動し続けるための“道具”として何が必要なのか? その問いに向き合い続けてきた姿勢が随所に反映されている。
雨中でも行動の自由を最大化すること。登山者たちのそんな願いに応え続けるために、ストームクルーザーはこれからも進化を止めることはない。
Text by Ryota Osujo






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