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「今買わないと手に入らない」──オールドステューシー専門店が見つめる価値と未来
ヴィンテージブームがヒートアップする昨今、オールド「stussy(ステューシー)」と呼ばれる、1980〜2000年代初頭に製造された古い個体もコレクタブルアイテムのひとつとなっている。ステューシーは、1980年にショーン・ステューシーが創設したブランドで、サーフやスケートカルチャーを出自とし、現在もストリートを中心に人気を博している。
高円寺のヴィンテージショップ「curb(カーブ)高円寺」は、Tシャツを中心に80〜2000年代初期のオールドステューシーに特化したお店として、マニアを中心に人気を集めている。ここではオーナーの上村さんに、ショップの生い立ちやシーンの現状など幅広く訊いた。
PROFILE
上村 遥(かみむら よう)
「curb(カーブ)高円寺」オーナー
2021年よりWEBショップとしてスタートし、2023年に「カーブ高円寺」をオープン。同店以外に、高円寺では「カーブ アザー サイド」を、下北沢では「カーブ下北沢」を経営している
ものごころついたときには自宅にデッキが。上村さんとステューシーの出会い
オープンは2023年7月ということですが、開店に至るきっかけからお教えください。
大学卒業後は古着屋さんでアルバイトをしていたのですが、いつか独立したいと思っていました。アルバイトを辞めて、2021年からオンラインショップで『カーブ高円寺』の営業をスタートしたのが最初です。ずっと実店舗を構えたくて物件を探していたところにここが見つかったので、そのタイミングでオープンしました。そもそも古着に興味を持ったきっかけは何だったのですか?
大学入学と同時に上京し、古着屋さんに頻繁に訪れるようになったことが大きかったです。古着自体は高校生の頃から親しんではいましたが、お金がなかったのでそこまで好きなものは買えず、大学生になってアルバイトで稼げるようになってから本格的にのめり込んでいきました。また大学に入ってからは時間に余裕ができたので、以前よりもお店に頻繁に通えるようになったことも大きかったと思います。当時は学校が吉祥寺にあり、交通の便が良かった下北沢や高円寺のショップにはよく行きました。日々いろんなお店をチェックしていたなか、下北沢のお店でアルバイトの求人が出ていたことからお店で働き始めました。
もともとステューシーは好きだったのですか?
すごく好きだったというわけではありませんでした。趣味でスケボーをやっていたのですが、仲間たちの中には古着か新品かに関係なくステューシーのTシャツを着て滑っている友達がいたこともあって、身近な存在ではありました。彼らが着こなしている姿を見るにつけ、少しずつ気になってきて、ちょくちょく買うようになったという感じです。あとサーファーだった父がストリートシーンに精通していて、ステューシーやカーハートといった親和性の高いブランドのアイテムを昔から好んで着ていたので、その影響は少なからずあったかもしれません。自分がスケボーを始めたのも、父のデッキが自宅にあったことからだったので。

オールドステューシーに特化したお店をやろうと思ったきっかけは?
じつはオープン当初はオールドステューシー単独ではなく、店舗の半分がステューシーで、それ以外はラルフローレンやカーハートなどのレギュラー古着から、アートやムービー系のヴィンテージTシャツなどを揃えていました。昨年7月に高円寺にもう1店舗出店したのを機に、ステューシー以外のアイテムを新店舗に移して、ここはオールドステューシーのみの店舗としました。Tシャツだけで言えば2000年代初頭の個体を中心に、古いものでは80年代後半のものから常時300枚以上はあります。

経営者という立場で言うと、オールドステューシーだけを扱うことはなかなか勇気いるのでは?
当たり前の話ですが、ステューシー以外のアイテムが欲しいと言われたら終わりなので、経営的な難しさはある程度は覚悟しています。ただ逆に言えば、ほかのお店にはない形態なので、そこで勝負しているという感じですね。そもそも自分が古着屋さんを始めたのも、人と同じことをしたくないという思いからなので、自分がやりたいことをすると考えたときに、大好きなオールドステューシーに特化したお店をやるということ自体に、そこまで違和感はありませんでした。
Tシャツを中心に高騰の一途を辿るオールドステューシー その未来とは
パウエルやサンタクルーズなど、スケートブランドはほかにあるにもかかわらず、なぜステューシーだったのですか?
魅力のひとつとしてあげるなら、Tシャツのプリントデザインですね。特にフォトプリントやオリジナルのキャラクターは、アートピースと言っても過言ではないくらいデザイン性が高いんです。また版権や肖像権などの問題から、いまのご時世では絶対に作れないようなハイブランドなどのパロディモチーフも、いま見てもすごく新鮮。プリント以外にも黒や紺、シルバーなど年代ごとにタグのデザインが変わったり、ボディのサイズ感が微妙に違ったりする点も、オールドステューシーならではの魅力だと思います。

バンドやムービーなどヴィンテージTシャツの市場は盛り上がっていますが、オールドステューシーはどうですか?
だいぶ人気で、商品自体があまり出回っていません。最近では日本ももちろんですが、アメリカやタイでは特に盛り上がっていますね。『カーブ』には、韓国を中心としたアジア系の人もよく来店されます。年齢的にはこれまで20代が多かったのですが、最近では30~40代の方が多いように感じます。子どもの頃から好きで、大人になってから改めて蒐集を始めたという人も少なくありません。
アイテムではTシャツや柄シャツなど、シャツ類の人気が高いです。コンディションやサイズにもよりますが、Tシャツの中でもっとも高値がついているのは、名作とされているフォトプリントのもの。ここにあるTシャツは、だいたい1万円台後半から2万円台が相場。個人的におすすめなのは、2000年代前半に作られたフォトプリントTシャツです。

ヴィンテージTシャツ市場では「XL」サイズが人気ですが、オールドステューシーはどうですか?
「L」が一番人気です。というのもステューシーの場合、「XL」だとめちゃめちゃビッグサイズになってしまうので、一般的な体型の日本人が今風にゆったり着るなら「L」がちょうどいい。ただ80〜90年代にかけての古い個体になるとサイズ感はそこまで大きくないので「XL」でもいいかもしれませんが、市場ではほぼ見かけません。逆に2000年以降の個体は作りが大きめになっています。
買い付けはどうされていますか?
8~9割は国内仕入れで、ほかはネット市場や店頭での買い取りです。あと2ヶ月に1回タイへ買い付けに行っていますが、顔なじみのディーラーさんから何着か買うという感じで量はそこまで出ません。ステューシーのような人気ブランドともなれば、市場にはブート(非正規品)も多く出回っていますが、真贋の目はどう養ってきましたか?
自分自身がオールドステューシーのアイテムを実際に買って着ることで、鍛えられていると思います。また買い付けでは、知識が豊富で信頼のできるディーラーさんやショップから買っているので、実際に正規品に触れることでその特性を感じつつ、アイテムについて学んだり。あとはリアルタイムでその年代を過ごした先輩方から、当時の情報を得たりしています。幸いにも自分の周りには、昔チャプト(=店舗)での勤務経験のある先輩がいるなど、その道のプロの方がたくさんいるので、そういう方から勉強させてもらっています。
今後、オールドステューシーはどうなっていくと思いますか?
だいぶ盛り上がっているので、以前よりも商品が市場に出回らなくなってきているのが実情です。本当に見つかりません。たとえば、同じヴィンテージTシャツであるバンドやムービーTシャツは高騰しているとはいえ、まだお金を出せば買えるレベルで存在しますが、オールドステューシーに関してはモノ自体がないので買うことができない。
今後はもし、人気プリントのTシャツやそのほかのレア物が見つかったら、そのつど市場価格が更新されていく、そのくらい価値が高まっていくと思います。
【店舗情報】
curb(カーブ)高円寺
住所:東京都杉並区高円寺南3-55-2
電話番号:080-8106-1089
営業時間:平日14時~22時(土日13時~22時)
Text by Kei Osawa














