

服と人
アメフェスから始まった美学──TAKAHIROが育て続ける“好き”のかたち
人気ヴィンテージショップ『ベルベルジン』ディレクター・藤原裕さんをホストに迎え、藤原さんとゆかりのあるゲストとともに、“服と人”との関わりを深く掘り下げていく対談連載。今回のゲストはEXILE TAKAHIROさん。
PROFILE
EXILE TAKAHIRO(えぐざいる たかひろ)
1984年生まれ、長崎県出身。ダンス&ボーカルグループEXILEのボーカル。約1万人が参加したオーディションを勝ち抜いて加入。以来、メンバーおよびソロとしての精力的な歌手活動のほか、俳優やアーティストとしても才能を発揮している。今年EXILE加入20周年というメモリアルイヤーに自身4度目となるEXILE TAKAHIRO 武道館 LIVE 2026"JUBILEE"〜20th Anniversary〜を9月25日(金)日本武道館にて開催する。
PROFILE
藤原 裕(ふじはら ゆたか)
ベルベルジン・ディレクター
原宿のヴィンテージショップ『ベルベルジン』店長。ヴィンテージデニムマイスターとしても認知されている一方、多くのブランドでデニムをプロデュースするなど、現在のデニム人気を担っている。

ファッションの原風景は、地元佐世保のアメフェス
藤原TAKAHIROさんと仲良くさせていただいてからだいぶ経ちますが、ファッション遍歴についてお聞きしたことはなかったですね。いつからファッションに興味を持ったんですか?
EXILE TAKAHIRO(以下、TAKAHIRO)小学3、4年生の頃ですかね。当時ネルシャツが欲しかったのですが家になかったので、チェック柄のパジャマで登校して、学校で「パジャマじゃん」ってバカにされて悔しかったことは覚えています。
あと地元の佐世保では、毎年夏に『アメリカンフェスティバル(アメフェス)』というイベントが米軍基地で開催されて、そこではアメリカの家具や古着、ミリタリーものなどが売られていました。
自分もお祭り感覚で遊びに行っていたので、子どもの頃からアメリカのカルチャーに触れていたこともあり、ファッションに興味を持つのは早かったかもしれません。古着のTシャツなどを安く買ったりしていましたね。
あとそうそう、エアマックスが流行った時にどうしても欲しくて親にねだったら、地元のスポーツ用品店に連れて行ってもらって、似たようなやつを渋々買ってもらったりしました。当時軍パンが流行っていて、それと合わせて履いたりしていました。
藤原小学生で、それはだいぶ早いですね。
TAKAHIROたしかにそうですね。その後、高校でパンクロック好きな友達に囲まれ、いろんな文化に触れ、福岡の専門学校へ通うようになってから、さらに古着が好きになりました。エルモ(アメリカのアニメ『セサミストリート』に登場する、赤くてフサフサした毛と大きな目が特徴の赤いモンスター)のTシャツを集めたり、ウエスタンスタイルをしたり。ちなみにウエスタンは当時東京で流行っていた“ギャル男味”が強くて、福岡ではだいぶ浮いてました(笑)。
藤原2000年代初頭ですね。僕も当時、ギャル男の皆さんにはお世話になりました。特にネイティブ系のアイテムはよく買ってもらった記憶があります。EXILEに入ってから、先輩の影響を受けることはありましたか?

TAKAHIRO先輩方はヒップホップやR&Bがベースなので、ロック由来の自分とは少しテイストが違う部分がありどちらかというと、裕さんと出会うきっかけになった会社の役員の方々がアメカジが好きだったので、その影響を受けることが多かったですね。
藤原懐かしい。初めてお会いしたのは15年くらい前でしたね。もともとうちのお客様だったLDHの役員の方が、誕生日プレゼントにリーバイス501XXを買っていかれて、しばらく経って、TAKAHIROさんがそのデニムをはいてお店に来るという(笑)。あの時はびっくりしました。
TAKAHIROほんと、懐かしいです。その方から、『デニムのことなら、ベルベルジンが間違いない』と言われて。あの時が初訪問でしたね。
服だけでは終わらない、蒐集の美学
藤原今日はアクセサリーを中心にご紹介いただけるということで。まずはゴローズからお願いします。

TAKAHIROゴローズの『金爪メタル付き特大フェザー』ですね。爪付きは、当時そこまで注目されていなかったのか幸運にも買うことができて、左右両方の爪を買わせていただきました。『メタル付き特大フェザー付き平打ちブレス』のほうは、以前僕の誕生日に知り合いの方がオーダーしておいてくれたもので。その方とお揃いで愛用させていただいています。

藤原ちなみに、ゴローズはいつから知っていたんですか?
TAKAHIRO もちろん地元にいるときから知っていました。ただ、雑誌の中の世界といいますか、つけている人も周囲にいなかったですね。上京して、美容師になってからも憧れの存在でした。デビュー後にゴローズに近しい人と知り合って、やっとお店に行かせていただけるようになって。裕さんはどんな感じでしたか?
藤原僕も憧れでしたね。10代で上京して、最初に買ったのが横長の財布と革のブレスで。その後アクセサリーも欲しくなったのですが、並びができるなどとてもじゃないけど買えなくて。
でもお店に来る年配のお客様から「これは90年代初期のもので」って話を聞くうちに、古いゴローズが欲しくなって。そういう方から、つけていないものを譲っていただいたりしました。TAKAHIROさんは、ゴローズが超似合いますよね。本当に好きだというのが伝わります。
TAKAHIRO うれしいです。ゴローズって大和魂の象徴みたいなところもあるじゃないですか。海外の文化ではありながらも、高橋吾郎さんという偉大な職人が築き上げた日本の伝統という感じがして。自分にとってはお守り的な存在です。
藤原このエルメスもやばいですね。

TAKAHIRO『キャラバン クレッシェンド』のゴールドです。11〜12年ほど前に中目黒の『ファビュラス サウンズ』で購入しました。まだ店舗もなく、ポップアップで始めた頃で。これはオーナーさんのご自宅兼オフィスみたいなところで買わせていただきました。
藤原刻印もしっかり残っていて状態もいいですね。しかしいいもの持っていますね。


TAKAHIRO 同じくエルメスで、こちらは『ヘラクレス』。シルバー製で、かなり繊細な作りです。
藤原本当に繊細ですね。長さがやや短めですが、どこにつけているんですか?
TAKAHIRO腕につけるのですが、その時は二重にしています。あと首につけるなら、ぎりぎりチョーカーとして使えるくらい。これ以上筋トレして首が太くなったらつけられません(笑)。
藤原たしかに(笑)。ただ、エルメスはご夫婦で共有もできますからね。ちなみに、エルメスのアクセサリーはいくつぐらい持っていますか?
TAKAHIROリングとかも合わせると、結構な数になりますね。もともとジュエリーが好きで、カルティエやティファニーなどひと通り買いました。エルメスに関しては、『シェーヌダンクル』など、このマンテル(Tバーを輪に通して留める留め具のこと)の部分が「カラカラ」って音がするじゃないですか。
そういう音の響き方とかも含めて、上品で重厚感があって好きですね。そんなエルメスの中でも、これは特にヘビロテアイテムです。

藤原なんだろう、これもまた謎が多いですね。
TAKAHIROそうなんです。刻印は入ってますが、年代などは不明で。プレゼントでいただきました。
藤原特注品というか、工房で特別にコマ(パーツ)を調整しているものですかね……?
TAKAHIRO たしかに。ひとコマずつ大きさが違うクレッシェンドタイプなんです。
藤原ネックレスはたまに見かけますが、ブレスレットはめずらしいですね。
TAKAHIRO人とかぶることがほとんどないので、大事に使わせてもらっています。
“好き”を貫くというスタイル
藤原そしてラングラーの『11MJZ』。これ、めちゃくちゃでかいですね。
TAKAHIROサイズ「46」です。


藤原いいですねー。(タグを指しながら)タグの真ん中にサイズ表記が入るのは珍しいと思います。
これは50年代製の『11MJZ』っていうモデルの最初期のもの。裏部分にあしらったネイビーのゴムが初期型の証しです。しかしコンディション、バキバキですね(笑)。


TAKAHIROそうなんですか!? 今日、これを着て生放送に出ていたんですけど、スタジオが途中からめちゃくちゃ暑くなって焦りました。なにせ汗をかきたくないので(笑)。
藤原久しぶりに、素晴らしいヴィンテージを見させていただきました。ありがとうございます。

TAKAHIROこの『ロレックス エクスプローラー2』は、2013年頃に金沢の『エンツォショップ』という時計屋さんで購入しました。90年代製だと思います。
藤原僕とお揃いです(笑)。Tiffanyのダブルネームがいいですね。
TAKAHIROかわいいですよね。ただ最近は人気がありすぎて、値段のほうは全然かわいくないですけど(笑)。
藤原自分にとってはファーストロレックスです。ロレックス自体、高校時代から憧れていましたが、当時はヴィンテージに全投資していたので時計までは余力がなくて。初めて手にしたのは、27歳の誕生日のとき。中野ブロードウェイの『かめ吉』で買いました。
TAKAHIROアクセサリーと同じく時計もいろいろと買いましたが、やっぱりロレックスが好きですね。自分のファーストロレックスは、ブラックの『GMTマスター2』でした。
ローンを組んで買ったのですが、払い終わったときに得も言われぬ達成感を覚えて。時計って買ったときのことを絶対に忘れないじゃないですか。そういう意味でもロレックスは、思い入れが強いかもしれません。
酒を酌み交わしながら夜通し語り合いたい
藤原今日お話を伺っていて、TAKAHIROさんは本当にファッションが大好きなんだなと感じました。特にヴィンテージ愛はハンパじゃないなと。
TAKAHIROハイブランドや流行りのものなども、これまで着てきましたが、やっぱり一番よく着たり、長年持ち続けたりしているものってヴィンテージなんですよね。特にアメリカンヴィンテージは、子どもの頃から触れていたせいか、自分にとっては当たり前だけど特別なものです。
そして、アメカジがファッションのベースになれば、アクセサリーや時計も、自ずとそれに合うものを選ぶようになっていました。今回のラングラーのジャケット一つをとっても、まだまだ知らないことがたくさんあるので、今後も裕さんからいろんなことを学びたいなと今日改めて思いました。

藤原ぜひぜひ。いつでも大歓迎です。
TAKAHIRO自宅でお酒を飲んでいて、いい感じに酔ってくると、ゴローズのアクセサリーとかをつけては外して、組み直してまたつけてって繰り返しているみたいで。それがすごく楽しいんですよね。
藤原 わかります。自分もお酒を飲みながらデニムの整理なんかしていると、2〜3時間くらい平気で過ぎています。
TAKAHIROいいですね! めちゃくちゃ楽しそう(笑)! でもそれ絶対に1杯じゃ済まないですよね(笑)。
──ヴィンテージもジュエリーも時計も、“好き”を突き詰めた先にあるのは、人それぞれの美学。幼少期に培ったアメリカンカルチャーをベースに、自分だけのスタイルを育て続けるTAKAHIROさん。その姿からは、流行に流されるのではなく、“本当に好きなもの”と長く向き合い続ける純粋な楽しさが伝わってきた。
Photo by Akinori Kawanishi
Hair&Make-up by Akemi Mizuno
Text by Kei Osawa













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