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【日本未上陸】彫刻的な美しさを、日常のスパイスに──北欧発のジュエリー「Pearl Octopuss.y(パール・オクトパッシー)」

2026.01.21
ノルウェーの海と山が生み出す有機的なフォルムと、現代女性のライフスタイルに寄り添う大胆なジュエリー。その両極を自在に行き来するブランド「Pearl Octopuss.y(パール・オクトパッシー)」が、いま国際的に熱い視線を集めている。
「基本のワードローブに、主役のジュエリーをひとつ加えるだけでいい」。そう語るのは、設立者兼デザイナーのキャスリン・ボルター。オスロを拠点とするこのブランドは、北欧の静謐な自然と現代的な遊び心を融合させ、日常の装いをドラマチックに変える力を秘めている。

PROFILE

キャスリン・ボルター(Cathrine Børter)

パール・オクトパッシー 設立者兼デザイナー

偶然と直感から生まれたジュエリー

遊び心にあふれたブランド名の裏には、偶然と直感が交差する創造の物語がある。
「最初に作品をSNSに投稿したとき、あるジュエリーがタコ(Octopus)のように見えたので、キャプションにそう書き込んだんです。それがそのままブランド名になりました」とボルターは微笑む。真珠(Pearl)の持つクラシックな美しさと、タコのような有機的で不思議なフォルム。その言葉通り、遊び心と創造性が同居する名前は、ブランドの世界観を象徴している。
彼女のデザインの起点は、季節やトレンドではなく“空気”と“ムード”だ。既存のシグネチャーフォルムや素材の言語を守りながら、新作もまたその世界観に「有機的に」接続されることを重要視している。
アーカイブを参照しながら、ときに偶発的に、ときにその直感に従って新しい衝動を重ねるその手つきは、単なる更新ではなく、ひとつの「ユニバース(宇宙)」を育てていく作業に近い。「新しい衝動を既存の美学と融合させるのが楽しいんです」と彼女は語る。
インスピレーションの源流にあるのは、やはりノルウェーの自然だ。海岸線に打ち寄せる泡のように柔らかく波打つ曲線と、山々の稜線に刻まれた鋭い岩肌。「私の感性を貫くのは、心を揺さぶる瞬間や強い感情に触れたとき」と語るように、彼女の作品には自然界の二面性が色濃く反映されている。
パールやクリスタルの繊細さと、メタルやチェーンの硬質さ。相反する要素を直感的に組み合わせることで、クラシックな素材にひねりを加える。
「ミニマリズムと称される北欧の伝統的なデザインを超えて、自分の世界観を表現したい」
静けさの中に秘めた力強さを彫刻的なフォルムに落とし込むことで、彼女は独自の「北欧の美」を定義しているのだ。

「日常着こそドラマチックに」という哲学

「Pearl Octopuss.y」が多くの支持を集める理由は、その圧倒的な存在感に対し、驚くほど日常に馴染む“汎用性”にある。
「あまりコーディネートに悩みたくないので、ジュエリーで遊べるベースを持つことが重要なんです。いま持っている服で、もっと自由に遊んでほしい」
その言葉通り、アイテムはひとつのピースを複数の着け方で楽しめるよう設計されており、Tシャツやデニムといったベーシックな装いほど、その輝きは際立つ。シーズンやジェンダー、流行に縛られず、身につけるだけで自信と遊び心を与えてくれる──それが、このブランドの真骨頂だ。

世界が認める美意識と、循環するサステナビリティ

ブランドの勢いはノルウェー国内に留まらない。
アメリカの老舗高級デパート「Bergdorf Goodman(バーグドルフ・グッドマン)」やラグジュアリーEC大手「Net-a-Porter(ネッタポルテ)」での取り扱いが大きな節目となり、国際的な評価も加速している。アメリカ人ミュージシャンのLenny Kravitz(レニー・クラヴィッツ)やKaty Perry(ケイティ・ペリー)、韓国出身のDJ・Peggy Gou(ペギー・グー)といったアーティストが愛用することも、ブランドの価値を示す証しだ。ボルターは、「誰もが自由に選べるなかで認めてもらえるのは本当に光栄です」と話した。
昨年8月の「オスロ・ランウェイ」では、ムンク美術館の歴史的絵画の前でショーを開催。アートとファッションが共鳴する空間で、ジュエリーが“主役”となる瞬間を印象づけた。今後はバッグやシューズ、パフュームへの展開も視野に入れている。
一方で、華やかな拡大の裏には「本当に愛せるものだけを届ける」という誠実な哲学がある。「選ぶのは、本当に愛せるものだけであってほしい」という思いは、徹底したサステナビリティへの取り組みに表れている。素材の種類をむやみに増やさず、万が一不良が出た場合には製品を分解し、素材を回収して再利用できる余地を残す設計にしているのだ。
製品だけでなく、ジュエリーポーチにはフェアトレード認証のオーガニックコットンを採用し、紐には天然のヘンプを使うなど、細部まで徹底した選択がなされている。
日常に遊び心を、装いに彫刻的な美を。「Pearl Octopuss.y」は、単なる装飾品を超え、身につける人と世界をつなぐ、小さくとも力強い架け橋となっていくはずだ。

Text by ELIE INOUE

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