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しなやかに動けて、風も防ぐ! モンベル「パウダーシェッド パーカ」がスノースポーツから街まで使える理由
「シェル」と聞いてまず思い浮かべるのは、硬くてパリッとしたハードシェルではないだろうか。モンベルの「パウダーシェッド パーカ」は、そんなイメージを覆す一着だ。防風性と保温性を備えつつ、生地はしなやかに伸びて体の動きに追従する。スノースポーツに対応する機能性と、冬の街でも使いすい柔らかな着心地を両立したソフトシェルである。
今回は開発にも携わり、本製品をスキーから普段の街着としても愛用するモンベルのプレス、榎本 渓さんにインタビュー。ハードシェルとの違いや実際の着心地から、フィールドと日常を一着でつなぐ「パウダーシェッド パーカ」の実力を紐解く。

「硬い殻」に対する、柔らかなシェル
ハードシェルとはその名の通り、雨や雪、風から体を守る“硬い殻”のようなアウターだ。防水性を重視した生地や構造を採用し、悪天候下で頼りになる防御力を備える一方、生地の硬さや突っ張りを感じることもある。「ハードシェルとは対照的に、柔らかく、ストレッチ性を備えているのがソフトシェルです」
ソフトシェルは動きやすさや着心地、体温調節のしやすさを重視したカテゴリーだ。モンベルでは、生地の厚さや保温性、想定するアクティビティに応じてソフトシェルを展開している。
「なかでも2010年代に登場したパウダーシェッド パーカは、防風・透湿性フィルムと暖かな起毛地を組み合わせたアウターです。ソフトシェルならではの動きやすさと、冬のフィールドで求められる防風性や保温性を両立しています」

同じ「クリマバリア」でも、パウダーシェッドはスノースポーツ向け
パウダーシェッド パーカと比較されることが多いのが、2023年秋冬に登場した「クリマバリア パーカ」だ。どちらも、防風・透湿性フィルムと起毛地を組み合わせた独自素材「クリマバリア」を採用しているが、想定する用途は異なる。「クリマバリア パーカは、ソフトな2WAYストレッチ生地を使い、冬の登山をはじめ幅広い用途に対応するモデルです。一方、パウダーシェッド パーカには、適度なハリとコシのある1WAYストレッチ生地を採用しています」

重量は、クリマバリア パーカが平均447g、パウダーシェッド パーカが614g。前者はポリエステル製の表地による軽快な着心地が特徴で、後者はナイロンとポリウレタンを用いた、よりしっかりとした表地を採用している。
「クリマバリアは冬山を中心に幅広く使うことができ、パウダーシェッドのほうはよりスノースポーツに軸足を置いたモデルです」

2025年秋冬にスノースポーツ仕様へアップデート
パウダーシェッド パーカは2025年秋冬、スキーやスノーボードでより使いやすいアウターへとモデルチェンジされた。榎本さんも開発に携わり、雪上で必要とされる機能やシルエットを改めて見直したという。「モンベルには多くのソフトシェルがあります。その中で、このモデルをどのような人に選んでもらいたいのかを明確にするため、スノースポーツに軸足を置いてアップデートしました」
大きく変わったのがフードとシルエットだ。
フードは耳まわりまで覆うスキーヘルメットの上からでも無理なくかぶれる大きさに変更した。身頃には重ね着を想定したゆとりを持たせ、滑走中に裾がめくれ上がりにくいよう着丈も少し長くした。

街でも着やすい汎用性を残すため、内側にパウダーガードは設けず、長めの着丈と裾のドローコードによって雪の侵入を抑える設計を採用した。
動きやすく、蒸れにくい。街でも使いやすいソフトシェル設計
パウダーシェッド パーカは、スノースポーツで求められる機能を備えながら、日常でも着やすいように設計されている。表地には、ナイロン83%とポリウレタン17%を組み合わせた1WAYストレッチ生地を用い、肘には腕の動きに沿う立体裁断を施すことで、体を動かした際の突っ張りを抑えている。さらに防風性と蒸れにくさを支えるのが、独自素材「クリマバリア」だ。はっ水加工を施した表地と暖かな起毛地の間に防風・透湿性フィルムを挟み、冷たい風を遮りながら、ウエア内の湿気を外へ逃がしてくれる。さらに、内側の起毛地が保温性を確保するため、寒い日の街でも冬のアウターとして使いやすい。

「縫い目にシームテープによる防水処理を施していないため、レインウエアのような完全防水ではありません。ただ、表地ははっ水加工仕様となっているので、小雨程度なら水滴を弾きます。雪上で楽しむスノースポーツなら、一日を通して快適に使えます」

熱がこもったときには、両脇のピットジップを開いて素早く換気できる。さらに、表地は光沢を抑えたマットな質感で、いかにもスキーウエアという印象を抑えているため、街での装いにも馴染みやすい。

胸と腰には、それぞれ左右にジッパー付きポケットを配置している。榎本さんはスキー中、スマートフォンを胸ポケットに収納しているという。
「胸に近いため、体温でスマートフォンが冷えにくく、低温によるバッテリー消耗も抑えやすいのがいいですよね。腰ポケットに物を入れたときのように下へ引っ張られる感覚が少なく、動きを邪魔しにくいところも気に入っています」

フードには3方向からフィット感を調節できるトライアクスルフードを採用した。袖口のアルパインカフや、腰ポケット内から操作できる裾のドローコードなど、グローブを着けた雪上でも扱いやすい機能を備えている。


雪上で実感した「楽」が、街でも生きる
榎本さんは登山をきっかけにアウトドアを始め、その後、スキーも楽しむようになった。当初、スキーの際はハードシェルを身につけていたという。意識が変わったのは、開発中のパウダーシェッド パーカをスキー場へ持ち込んだときだった。
「それまではハードシェルを着るのが当たり前で、生地の硬さについてもそういうものだと思っていました。ところが、このパーカを着て滑ってみると、とにかく楽だったんです。体の動きに生地がついてきてくれるだけで、こんなに快適性に違いが出るのかと驚きました」
その「楽」を生み出しているのが、生地のしなやかさとストレッチ性だ。体を曲げても突っ張りにくく、硬さのある止水ファスナーを多用せず、柔らかなコイルファスナーを採用していることも、着用時のストレスを抑えている。
この着心地のよさは、雪上だけのものではない。榎本さん自身、スキー場だけでなく街でもパウダーシェッド パーカを着用しているという。
「スキーでは体を動かしやすいですし、普段の街着としても、生地が柔らかいので窮屈さを感じにくいですね。防風性があって内側は起毛しているので、寒い時期のアウターとして重宝します。いかにもスキーウエアという見た目ではないところも、街でも使いやすいポイントですね」

ハードシェルや薄手のレインウエアに比べると重量はあるが、榎本さんは数字だけでは着心地を比較できないと話す。
「実際に着てみると、重さよりも生地のしなやかさやストレッチ性のほうが、着心地に大きく影響すると感じます。また、このパーカは起毛生地が一体になっているため、重量だけで重ね着を前提とする薄手のシェルと比較することはできません」

移動から滑走、街まで。着替えず一着でつなぐ
パウダーシェッド パーカのもう一つの利点が、移動から滑走まで着替えずに過ごせることだ。専門性の高いスキーウエアは、雪上では頼もしい反面、移動中には生地の硬さやかさばりが気になることもある。「ゲレンデやフィールドへの行き帰りのアウターとしても楽です。スキー場へ向かうときから滑っている間、帰るときまでこれ一着で過ごせます」

表地も光沢を抑えたマットな質感で、いかにもスキーウエアという印象はない。

「スキー場だけでなく、街でも十分に使えます。スキー専用のアウターを買うことに抵抗がある方にも、選んでもらいやすいと思います」
防風性や保温性、雪上での動きやすさを備えながら、柔らかな着心地や街にも馴染むデザインを備えた「パウダーシェッド パーカ」。スノースポーツへ向かう移動中から滑走時、帰宅まで一着で過ごせるだけでなく、普段の冬のアウターとしても使える汎用性が、このソフトシェルならではの強みだ。
PROFILE

榎本 渓(えのもと けい)
株式会社モンベル 広報部
店頭スタッフや商品開発部門を経て、現在は広報を担当。趣味は縦走とスキー。開発経験と自身のフィールド体験を生かし、ユーザーに近い視点からウエアやギアの魅力を発信している。
Photo by Akinori Kawanishi
Text by Ryota Osujo















