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ザ・ノース・フェイスの GAR フェーデッド コレクションが 作ったトレラン由来の日常着

2026.04.15
2026年春、THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)は、新たなコレクション「GAR」をリリースした。インスピレーション源となったのは、長時間・長距離にわたって山中を走るトレイルランニング。同ブランドがサポートしてきたこのアクティビティの機能美は、どのように日常着へと昇華されたのか。
本記事では、GARコレクションの中でも、フェード感のある素材表現を特徴とする派生ライン「GAR Faded Collection(GAR フェーデッド コレクション)」にフォーカスする。企画・開発チームの株式会社ゴールドウイン ザ・ノース・フェイス事業部の佐藤夏生さんへの取材を通して、その魅力を探る。

PROFILE

佐藤 夏生(さとう なつき)

株式会社ゴールドウイン
ザ・ノース・フェイス事業本部
ザ・ノース・フェイスライフスタイルアパレル事業部
ライフスタイルグループ

マーケティングやプロモーションなどに携わった後、2025年よりアパレル事業部へ。長く続けてきたスノーボードを通じて培った視点と、山と街を行き来するライフスタイルの体感をベースに商品企画に取り組む。

GARコレクションのメインビジュアルにもトレイルランニングを楽しむ男女の姿が

なぜ、TNFはトレイルランニングに注目したのか?

ザ・ノース・フェイスは、1966年の創業以来、極地遠征やアルパインクライミングに対応するヘビーデューティな装備を開発してきた。同時にトレッキングやスキー、スノーボードといったアクティビティ用のプロダクト開発にも精力的に取り組んできた歴史を持つ。
なかでも、10年以上にわたってプロダクト開発やアスリートの支援を行ってきたのがトレイルランニングである。
「山野を長時間、長距離にわたって移動するトレイルランニングのウエアには、動きやすいミニマルなデザインや寒暖差の大きい環境に対応するための素材など、多くの優れた点があります。そうしたスペックやデザイン性を日常着に落とし込む。これがGARコレクションのコンセプトです」
GARという名称は「General Athletic Recreation」の頭文字に由来し、アスレチックウエアの機能性を日常生活の中で再創造する、というコンセプトを象徴する

ヴィンテージライクなフェード感が特徴の派生コレクション

今回フォーカスするのは、GARコレクションの中でも、ひとつのラインとして展開されている「GAR Faded Collection(GAR フェーデッド コレクション)」だ。
「最大の特徴は、特殊な染色と製品洗いによって、“フェード感”が表現された素材にあります。このフェード感は、トレイルランニングによる素材のヤレた風合いや日焼け、付着した砂などをイメージしたものです」
たとえば、「GAR Faded Softshell Jacket(GAR フェーデッドソフトシェルジャケット)」では、ナイロンのソフトシェル素材に特殊な染色と製品洗い加工を施すことで、長期間着込んだような濃淡とコットンライクな風合いが表現されている。
カラーは写真のパシェグレーのほか、マッシュルーム、シーフォグの3色展開。「GAR フェーデッドソフトシェルジャケット」 26,400円(税込)
均一な染色が前提とされるナイロン素材において、こうした表現を実現するには高度な技術が求められる。
「生地メーカーと試行錯誤を繰り返しながら、少しずつ理想の色みと風合いに近づけていきました。さまざまな染色と加工方法を試しましたが、最終的にナイロン素材を染色した後に特殊な二次染色を行い、縫製した後にウォッシュ加工を施す方法がベストでした。
加工の特性上、色みや風合いは一点一点微妙に異なりますが、色移りのしにくさや強度など、品質はブランドの基準に則っています」
縫製部分や生地の重なり部分に見られるパッカリング(細かいシワや凹凸)も、ヴィンテージを彷彿とさせる仕上がりに
「これまでのアウトドアウエアは、機能性が優先されることもあって、表現の幅が限定されてきました。そこでこのフェーデッド コレクションでは、今までのザ・ノース・フェイスにはなかったような新しい表情を持つプロダクトを提案したかったんです」
もちろん、機能面にもぬかりはない。素材にはメカニカルストレッチ構造のナイロンを採用することで、体の動きに追従する可動性を確保。はっ水加工やUVガード機能など、アウトドアシーンにも対応する機能も兼ね備える。
ナイロン素材の表面にははっ水加工が施されている。また、UPF30-50+、紫外線カット率90%以上のUVガード機能も
シェルのほかに、レイヤードしやすいベストも用意された。いずれも往年のソフトシェルジャケットを踏襲したレトロなデザインがヴィンテージライクな素材にマッチしている。
ジャージーのようにセットアップ使いが可能に
フェード加工が施されたアイテムは、パンツもラインナップされている。
「開発に当たって、『ザ・ノース・フェイスがトラックスーツやジャージーを作ったらどうなるか?』というファッション視点の裏テーマも設定したんです。そこでセットアップで着用できるよう、アウターとパンツをラインナップしました」
ジャケットと同じ素材が使用されたベストバージョンも。「GAR フェーデッドソフトシェルベスト」 20,900円(税込)
「GAR Faded Baggy Pants(GAR フェーデッドバギーパンツ)」は、ジャケットと同じナイロン素材に特殊な染色と製品洗い加工によって自然な色落ち感が表現されている。
「ランニングや登山用のパンツは、細身のテーパードシルエットで、膝にダーツが入っているものが一般的です。そこでこのパンツでは、あえてゆったりとしたバギーシルエットを採用しました。ブランド全体でも珍しいシルエットで、動きやすさとスタイリングの自由度を意識しています」
「GAR フェーデッドバギーパンツ」 19,800円(税込)

フィールドと都会をシームレスにつなぐウエア

トレイルランニングのウエアが持つ機能を日常着として再構築するために、ザ・ノース・フェイスはフェードという素材表現と現代的なシルエットを融合させた。
パンツはロングパンツとショーツの2種類。写真右「GAR フェーデッドバギーショーツ」 13,200円(税込)
「機能性と着心地のよさ、スタイリングの自由度を両立したウエアは、ファッション感度の高いユーザーがザ・ノース・フェイスのプロダクトを手に取る新しいきっかけになると考えています」
機能性だけでなく、トレイルランニングというカルチャーそのもののエッセンスが吹き込まれたGAR。それはアウトドアと日常生活をシームレスにつなぐだけでなく、機能とファッションの関係性を更新する、新たなデイリーウエアのかたちだ。

Text by Ryota Osujo

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