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部位ごとに素材を変える理由! ウェルターエクスペリメントが実現した吸汗速乾設計とは?

2026.08.14
去る4月、韓国発のアウトドアブランド、ウェルターエクスペリメントが日本に本格上陸を果たした。その数あるプロダクトのなかから、今回は「ハイドラフューズ メッシュ Tシャツ」にフォーカスする。身体の熱や汗の量に応じて、各部位に異なる素材を配置する複雑なパネル構造を採用した高機能Tシャツだ。
なぜここまで複雑な構造が必要だったのか。素材、構造、縫製に込められた設計思想について、執行役員のチャン・ミンダ氏に話を聞いた。

韓国・ソウルを拠点とする気鋭のアウトドアブランド

ウェルターエクスペリメントは、2021年に韓国・ソウルで設立されたアウトドアブランドだ。過酷な自然環境と現代の都市生活をシームレスに繋ぐウエアを数多く展開し、現在では、韓国国内で15億ウォン(約1億5,000万円)規模の売り上げを誇るブランドへと成長を遂げている。
「機能性と洗練されたデザインの両立を求める30代のユーザーを中心に、高い支持を集めています。私たち開発チームは誰もがアウトドア愛好家であり、常に自分たちが『本当に着たいと思える服』を追求してきました」
そう語るのは執行役員を務めるチャン・ミンダ氏である。今回フォーカスする「ハイドラフューズ メッシュ Tシャツ」もまた、作り手の「本当に着たい」という思いから生まれた製品であり、同ブランドがこれまで培ってきた技術の、現時点での集大成ともいえるアイテムに仕上がっている。
軽量で速乾性に優れ、暑い時季も快適な着心地をキープする「ハイドラフューズ メッシュ Tシャツ」7,600円(税込)
「私たちのブランドには多くのTシャツがラインナップしていますが、そのなかでもこのアイテムは、もっとも高い機能性を備えたフラッグシップモデルに位置付けています。構想から約1年をかけ、サンプルを作っては実際にトレイルランニングやハイキングで着用テストを繰り返すという、地道な試行錯誤を経てようやく完成しました」
その機能の核心は、ひと言でいえば「複雑なパネル構造」にある。身体の部位に合わせたさまざまな組織・形状の生地を、緻密に組み合わせているのである。

身体の各パーツは異なる「気候」を持っている

素材は、軽量で速乾性と通気性に優れたポリエステルだ。このポリエステル素材の糸を使用して、部位ごとに異なる編み方、異なる形状のパネルを配置している。
「ハイドラフューズ メッシュ Tシャツ」の背面。肩甲骨、袖、背中、脇など、さまざまな形状の生地を繋ぎ合わせていることがよくわかる
「私たちは『気候マッピング』という概念でこのTシャツを設計しました。人の身体は、部位によってかく汗の量が異なります。またバックパックを背負えば、肩や背中には熱がこもります。つまり身体の各パーツはそれぞれが異なる『気候』を持っており、その気候に合わせて最適な生地をマッピングする、という考え方です」
この発想により、脇下などの発汗量が多い部位や、熱のこもる肩甲骨周辺には、より通気性の高いメッシュ組織の生地を配置した。それぞれの部位に合わせて、生地は複雑なラインを描いている。
発汗量が多い部位、熱がこもりやすい部位にはメッシュの生地を配置している
「単にメッシュを部分使いするだけではなく、実際に着用し、少しずつ位置を微調整しながら開発を進めました。この独自の配置と体験にもとづいた開発プロセスこそが、私たちの強みだと考えています」

快適さを支える縫製技術

しかしながらパネル構造、すなわち複数の異なる生地を組み合わせる構造は、必然的に、生地同士の縫い目(シーム)が増えてしまう。そしてそれは、肌に対して摩擦を引き起こす因子が増えるということでもある。
特に長時間のトレイルランニングやハイキングにおいて、縫い目の擦れによる不快感は疲労へと直結してしまうものだ。この問題を解決するために採用したのが、「フラットシーム」と呼ばれる縫製技術である。
首、袖、脇、裾など各部位に縫い目があるが、フラットシームを採用することで肌当たりの良さを実現している
「4本針を使用したフラットシームにより、生地と生地が重なる部分の厚みを最小限に抑えています。肌へのストレスや不快感をできる限り軽減するためには、この縫製技術が不可欠でした」
またそのデザインには、ブランドの哲学である「シンプルさ」が貫かれている。カラーバリエーションはグレーとブラックの2色に絞り、装飾も最小限に抑えた。胸元と裾に配置された2本線のブランドロゴや、背面の文字プリントにリフレクターを用いることで、夜間の視認性と安全性を高めつつ、ミニマルデザインにおける静かなアクセントとしても機能している。
ブランドのマークやロゴにはリフレクターを使用し、デザイン要素は最小限にとどめている
「シルエットにも私たちの個性があると思います。ストリートファッションで主流のオーバーサイズではなく、かといって身体のラインが出るようなタイトフィットでもない、程よいゆとりを持たせたシルエットを追求しました」
高機能素材、優れた着心地、シンプルなデザイン、そして絶妙なシルエット。複数の要素を高いレベルで融合させたのが、この「ハイドラフューズ メッシュ Tシャツ」というわけだ。

着用したユーザーから届く高評価の声

アウトドアシーンでの使用を想定した「ハイドラフューズ メッシュ Tシャツ」だが、その洗練されたデザインは、都市生活における日常着としても十分に機能する。
「トレイルランニングやハイキングはもちろん、街でのランニングやジムでのワークアウトにもおすすめです。また通勤時のアンダーウエアとして、あるいは休日のカジュアルウエアとしても活躍してくれます。つまり、どんなシーンでも使える汎用性の高さが魅力なんです」
実際に「ハイドラフューズ メッシュ Tシャツ」を着用したユーザーからは、「抜群の着心地」「暑い日も快適に過ごせる」「アウトドアウエアとしても街着としても違和感がない」など、早くも高い評価が寄せられているという。
素材自体の柔らかさやゆとりのあるシルエットも着心地のよさに寄与している
日本市場への本格展開は始まったばかりだが、その設計思想は国内のアウトドアシーンでも十分に受け入れられる可能性を秘めている。その背景には、「気候変動を見据えたものづくり」というブランドの考え方がある。
「気候変動の影響により、夏はさらに極端に暑く、冬はより厳しく寒くなるという二極化が、世界規模で進行しているように思います。私たちもそんな環境の変化に対応して、ものづくりのノウハウを常にアップデートしていかなければなりません。今後はより高機能で、軽量かつ通気性に優れた製品を順次開発していく予定です」
気候変動によってアウトドアを取り巻く環境が変わるなか、ウェルターエクスペリメントは、その変化に対応するものづくりを追求している。身体の部位ごとの熱や汗の量に応じて素材を配置する、「気候マッピング」という発想から生まれた「ハイドラフューズ メッシュ Tシャツ」は、その思想を象徴する一着といえる。

PROFILE

チャン・ミンダ 

イーガービーバー合同会社 執行社員 
海外ブランドの日本市場展開を支援。EC運営、SNSマーケティング、翻訳・ローカライズ、インフルエンサー施策、国内販売・流通支援、PR・イベント出展など多くの業務を担当。

Text by Tomoshige Kase

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