芝生や土のピッチで行うリアルなサッカーと、スマートフォンやゲーム専用デバイスで行うゲームのサッカー。あなたはどちらのプレーヤーだろうか。両方のプレーヤーという人も多いだろうが、リアルとゲームはあくまでも別モノと捉えていたはず。しかし、adidas GMR(アディダス ゲーマー)の登場によって、リアルの世界とゲームの世界が接続。スポーツの世界が新しいフェーズに入った。
タグは、Googleの先進技術研究部門、ATAP(Advanced Technology and Project)が開発したもので、Jacquard by Googleという名がつけられている。このジャカードタグには、回転や向きの変化を検知するジャイロセンサーや、速度の変化を検知する加速度センサーが搭載されており、それによって、プレーヤーの脚の動きをセンシング。そして、 ジャカードタグの高度な機械学習アルゴリズムを通じて、走行距離、スプリントスピード、シュートのパワー、キックなどを測定 する。
プレーヤーは、adidas GMRとFIFA Mobileのアプリをスマートフォンにダウンロードする。adidas GMRのアプリを使い、ジャカードタグとペアリングし、性別、身長、体重といったデータを登録する。そしてFIFA Mobileとの接続が終われば、セッティングが完了する。このセッティングが完了した時点で、 購入者特典として、ゲーム内で使用できるセリエAのユヴェントスに所属するパウロ・ディバラ選手のデータが送られる。これは、通常のゲーム内で獲得できる選手とは能力値が異なるadidas GMRユーザー限定バージョン 。これだけでも、リアルとゲームの両方を楽しむプレーヤーたちは、adidas GMRを使ってみたいと思うに違いない。
FIFA Mobileのゲーム内には、adidas GMRを使ったウィークリーチャレンジが用意されている 。たとえば、パスを25回通す、2000メートルのジョギングを行う、25メートルのスプリントを25回行う、ペナルティエリア内でシュートを5回打つといった内容だ。またキックの回数や、走行距離、スプリントの回数などのトータルの数字も実績として残されるようになっている。
ジャカードタグとアプリのリンクを終えたプレーヤーは、利き足のインソールにジャカードタグを、もう一方のインソールに付属のシ ンメトリータグを取り付ける。そして、インソールを自分が使用するサッカースパイクに装着する。スパイクの種類に制限はなく、サイズさえ合っていればOKだ。
準備ができたら、リアルのサッカーおよびトレーニングの開始。プレー中、何回スプリントを行なったか、どれだけの距離を走ったか、何本のシュートを打ったか、どれだけパスのためのキックをしたかというデータを、ジャカード タグが測定、蓄積する。そしてFIFA Mobileと同期することで、データはゲーム内に。前述したウィークリーチャレンジや実績をクリアしていると、ゲーム内の自分のチームやプレーヤーを強化するためのアイテムがもらえるという仕組み。つまり、 現実世界でサッカーをプレーすればするほど、仮想世界であるゲームの 中の自分もそれに合わせて強くなっていく ということだ。
開発を担当したアディダス フットボール事業責任者のモリッツ・クロエツナー氏は「adidasは、サッカーの現実世界とゲームという仮想世界を連携させるイノベーションに取り組んでいます。adidas GMRでは、製品開発に対する従来のアプローチを探求し、挑戦することにより、スポーツの新しい体験をサッカープレーヤーにもたらすことができました」とコメントしている。
仮想現実がリアルに変わるとき、スポーツ体験の世界が変わる adidas GMRアプリは3月末時点で、世界で30,000以上ダウンロード されている。現在のプレーヤーが、現実世界のチームメート、練習仲間を誘うことで、ますます増えていくだろう。
現実世界と仮想世界がつながれたサッカーのフィールドには、たくさんの可能性がある。 ゲーム内のキャラクターを成長させるために、さらにリアルなピッチでトレーニングに励もうとする子どもたちが出てくるだろう。これをきっかけに苦手なスプリントに取り組むこともあるかもしれない 。マンガを読んで、それをモチベーションに変えたアスリートがいるように、近い将来「adidas GMRのおかげで練習を頑張れた、上達できた」なんていうプロ選手が出てくる可能性だってある。
また、ゲームはしていてもリアルでサッカーをプレーしたことがないという人が、adidas GMRをきっかけに、ボールを蹴り始めるといったことも起こり得るだろう。
adidas GMRという新しいテクノロジーの登場で、サッカーがより豊かになり、サッカーを始めるための間口が広がったのは間違いないなさそうだ。
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