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2024.03.22

日本発の「AIモデル」は、アパレル企業のDXをどのように支援するのか:AI model株式会社

近年、生成AIが大きな注目を集めているなかで、日本発のAI技術でAIモデルなどを生成してDXを支援するAI model株式会社が話題となっている。
同社は、アパレルECや、モデル撮影やささげ業務の撮影においてAIモデルを活用することで、売り上げの向上や、コスト削減が可能になるとしている。
そこで今回、同社のCTOを務める中山佑樹さんに、AIモデルに関する事業を開始したきっかけから、取り組みの詳細、今後の展開などについて伺った。

EC化が進んだからこその課題

はじめに、御社がAI技術でAIモデル・タレントを生成してDXを支援する取り組みを始めた経緯について教えてください。
コロナが始まる少し前から、アパレルECの売り上げが非常に上がってきましたが、EC化が一気に進んだことで、一つの課題が生まれました。
いわゆる「ささげ業務」(ECサイトにおける撮影、採寸、原稿などの商品情報制作)が非常に労働集約的な現場になってしまったんです。
そのなかで、商品詳細の写真撮影においてモデルを活用しているブランドは、小ロットの商品撮影が発生した際に、コストの都合で撮影を行えない、商品のライフサイクルに対応できず掲載時期を逃してしまう、などの問題が生じていました。
また、そもそもモデルを活用した撮影にコストを割けないブランドは、現在に至るまでEC上に商品のみの画像素材を掲載しているケースも多くあります。このように、ECが成長したからこその課題がありました。
こうした問題を、最新技術を活用して解決できないかと考え、まだ生成AIが話題になる前の2018年頃からAIの研究開発をスタートし、2020年にAI model株式会社を立ち上げ、2022年の8月にサービスをスタートしました。
弊社と他のAI企業との一番大きな違いは、技術先行ではなくマーケット先行という点にあります。
弊社代表の谷口はクリエイティブ制作会社の代表でもあり、大手アパレル企業をクライアントとして、ウェブサイトやECサイトの構築、LookBookやカタログの制作、雑誌のアートディレクションなどを手がけてきましたので、元々ささげ業務における撮影も行っておりました。
そのため、ファッション業界の商習慣を理解したうえで、一番適切な技術と、それをどう提供すれば良いのかをひたすら考えた結果として生まれたサービスです。

自社のエンジンでAIモデルを生成

モデルを生成するAI技術はどのように構築しているのでしょうか。
技術的にはMidjourney(ミッドジャーニー)やStable Diffusion(ステイブル・ディフュージョン)は使用しておらず、完全に自社のエンジンでAIモデルを生成しています。
依頼をいただいた企業向けに専属のAIモデルを作り、クリエイティブの制作までやらせていただいています。
クライアント企業が求めるAIモデルを生成する点には難しさがあると感じるのですが、いかがでしょうか。
おっしゃる通り、一番難しいポイントです。たとえば、人間のモデルオーディションであれば、候補者それぞれのキャラクターや実績、イメージ、バックボーンなど複数の判断要素があるため、採用を決定する担当が複数名であっても「この子がいいね」と、一致するケースが多いんです。ところがAIの場合は、要素が画像のみであることから、判断が難しい傾向にあります。
そのため、弊社内のクリエイティブディレクターらがクライアント企業の意向を把握し、自社で生成したAIに対してスクリーニングをかけたうえで、ご提案させていただいています。
これまでの事例を踏まえ、AIモデルを活用すると、具体的にどのような効果がありますか。
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#Virtual Human
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