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2024.03.28

“仕事をしながら疲労回復ができる” AOKIが新開発した「パジャマスーツ®リカバリー」

近年、疲労回復機能が期待できる衣服として「リカバリーウエア」が各社から発売されているなかで、スーツ専門店の株式会社AOKIが、ビジネスシーンで着用可能な「パジャマスーツ®リカバリー」を発売して注目を集めている。
「パジャマスーツ®リカバリー」は、一般医療機器に届け出をした疲労回復ウエアとして、血行促進、ハリ・コリの軽減、疲労回復効果が期待でき、スーツのような見ためとリラックス感のある着心地に仕立てることでON・OFFを問わずに長時間の着用が可能になっているという。
そこで今回、商品企画を担当した株式会社AOKIの小出大二朗さんに、「パジャマスーツ®リカバリー」を開発した経緯やエピソード、製品としての特徴や課題、これからの展開まで、話を伺った。

「パジャマスーツ®リカバリー」が生まれた背景

はじめに、「パジャマスーツ®リカバリー」を開発したきっかけについて、教えてください。御社は2022年に自宅での休息や睡眠時に活用する「RECOVERY CARE+リカバリーケアプラス®」というリカバリーウエアも発売していますね。
世の中の健康志向を背景に、国もヘルスケア産業の活性化を目的にさまざまな施策を打ち出していますが、われわれも洋服を販売している企業として、そうしたマーケットに対応することを目指して、「RECOVERY CARE+リカバリーケアプラス®」を発売しました。
この「RECOVERY CARE+リカバリーケアプラス®」という商品も一般医療機器の届け出をした商品で、温熱治療効果のある特殊な高濃度セラミック練りこみ糸を使用した生地が、身体から発する遠赤外線エネルギーを吸収・輻射することで、血行を促進する仕組みとなっています。技術的には、これと同じものが「パジャマスーツ®リカバリー」にも適用されています。
「RECOVERY CARE+リカバリーケアプラス®」はルームウエアとして販売以降、シーズンごとに素材を変えるなどアレンジしながら展開中です。実績としても2023年の秋冬モデルがほぼ完売するなど、ご好評をいただいています。
一方で、弊社のカジュアル分野では、見ためがスーツで着心地はパジャマのような快適さがある「パジャマスーツ®」という商品があり、こちらもリピーターが多い商品として好評です。
そこで、これまでの商品展開を踏まえ、「外でも着られるリカバリーウエアを提供したい」という思いから、この商品が生まれました。
また、最近コロナが落ち着いてリモートワークから出社に切り替わる方も増えているこのタイミングで、お客様に「仕事をしながら疲労回復ができる」という「驚き」も提供できるのではないかと考え、開発がスタートしました。

完成にあたって乗り越えた課題とは

開発における苦労や工夫など、エピソードについて教えてください。
もともとパジャマスーツ®を開発しているチームが商品開発を担当しましたが、完成まで非常に時間がかかりました。
まずは、スーツとして素材の形状保持性を高める必要があり、ルームウエアで使用した素材をそのままジャケットとパンツに応用することはできず、その素材の開発やデザインに苦労しました。
今回はジャージー素材をベースに製作しており、その中でもダンボールニットと呼ばれる少し肉感のある素材を採用することで、その問題をクリアしました。
また、「RECOVERY CARE+リカバリーケアプラス®」の製作もお願いしているメーカーに開発依頼をしたのですが、ルームウエアでは実現できた一般医療機器の基準をクリアするまで、なかなか辿り着けませんでした。
理由としては、ルームウエアと形状が異なるため、根拠のある正しい数値が測定できるポイントを探すことに時間を要しました。
実際、開発途中で「一般医療機器としては諦めよう」という話もありましたが、「外でも着用可能な疲労回復ウエアをお客様にご提供したい」という開発当初の想いを実現させるべく、試行錯誤を重ね、最終的には測定ポイントを調整することで問題をクリアし、実現に漕ぎつけました。
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