イヴ・サンローランにとって、花はインスピレーションの源として欠かせないものだった。パートナーのピエール・ベルジェとともに、日頃から花や庭に囲まれて過ごしていたといい、花から無限のインスピレーションを得ていたという。
この自然への憧れは、サンローランが愛読していた小説家マルセル・プルーストを含む、多くの芸術家や作家たちから影響を受けているという。
プルーストの世界観は、デザイナーたちのインテリアやランウェイショーにも影響を与えた。作家が女性を花に例えたように、サンローランは花で女性を飾ることで敬意を表現したのだ。
今回展示された30点を超える衣装とデザイン画は、自然と文学、そしてサンローランの創作物が互いに影響し合う関係性を鮮明に表現している。Fashion Tech Newsでは、開催期間中に同美術館を訪れる機会があった。どのような展示があったのか、写真を交えて一部を紹介していく。
コレクションができるまで
入り口を抜けると、開放的な空間が来訪者を迎える。最初のスペースには、各コレクションの起点となるアイテムが展示されていた。