Fashion Tech News symbol
Fashion Tech News logo
2021.04.22

手のジェスチャーでApple Watchの動作を可能に Mudra Bandの挑戦

イスラエル発Werable Device LTDの開発プロダクト、Mudra Band。本製品は、Apple Watchの小さな画面の操作困難性を解消すべく、Apple Watchに装着するリストバンドである。独自に開発した筋電センサーと、筋電図を解析するAIの技術を応用し、手のジェスチャーに応じてApple Watchをジェスチャーのみで操作できるという。現在、電子機器の見本市であるCESや、クラウドファンディングを通じて注目を集めている。今回、Chief Scientist&PresidentのGuy Wagner(ガイ・ワンナー)氏と、日本側のジェネラルマネージャーを担当しているMasahiro Yamamoto氏に、インタビューを行った。

Apple Watchに着用可能なリストバンド Mudra Bandの機能

Mudra Bandは、Apple Watchの操作を手首のジェスチャーのみでコントロールするための、Apple Watch対応のリストバンドである。Mudra Bandは、微細な指の動きや指先の圧力のデータをリアルタイムで計測し、デジタルデバイスの操作や制御を可能とし、日常生活におけるスマートウォッチの操作を、より自然かつ直感的なものへと導くという。まずはじめに、Mudra Bandがどのように機能し、そして次にそれらがどのような技術によって可能となっているのか、詳細を伺った。
―Mudra Bandは具体的にどのようにApple Watchと連携しているのですか。
バンドの裏側に配置された金属部分が、生体電位を検出しています。このバンドは、手首付近に流れる電位を検知し、手首が特定の動きを行った場合に流れる電位によってApple Watchを操作できます。手首の動作は必ず、意図的に行わなければならず、例えば指や手首を別の使用して動かした場合は、何も起こりません。
動作に至らなくとも、動作をしたいと思った際に流れる微細な電位も計測していることから、ブレイン・マシン・インターフェイスであると言えます。つまり、脳から発生した意図が、神経を介して、デバイスへと直接接続されている、ということです。

独自のセンサーの開発

ーMudra Bandの開発ストーリーを教えてください。
Mudra Bandは、簡単に言えば、筋電図(Geo ElectroMyoGraphy / EMG)に応じてセンサーが反応するという仕組みです。開発にあたって直面した重要な問題の1つは、センサーを手首に配置することでした。腕のなかでも、肘の近くなどは、手首よりも精細に筋電図を取得することができるのですが、センサーが肘近くに配置している場合、どれだけ技術が優れていたとしても、製品の外見がユーザーにとって、かっこいい、購入したい、と思えない製品では意味がありません。
そこで、人々がすでに時計やリストバンドの装着で馴染んでいる手首に焦点をあて、ユニークなセンサーの開発を行いました。筋電位をベースにしていますが、手首周辺の筋電位はとても微小なため、認識可能なセンサーの開発はとても時間がかかりました。
―Mudra Bandには、どのようなアルゴリズムが使用されているのでしょうか。
大きく分けて、3つのアルゴリズムが機能しています。まず1つ目は、(電位の)シグナルを検出するアルゴリズムです。本当にその電位は、意図して発生されたものなのか、あるいは、手で頭を掻いているノイズなのか、といったことを判定しています。
そして2つ目は、ジェスチャーを検出するアルゴリズムです。開発にあたって、ユーザーテストを行い、何千回分以上のデータを取得し、データバンクを作成しました。手首周りに特化した電位のデータを集めたデータバンクはあまり存在しないように思います。このアルゴリズムによって、ユーザーがどのような動きをしたかが、データにタグ付けされ、電位とジェスチャーの関係を紐づけることができます。この種のアルゴリズムの設計はとても難しく、数年を要しました。
1 / 3 ページ
#Wearable Device
この記事をシェアする