2006年、ロードバイクやピストバイクに乗る人が街に増え、ピストバイクは“最後のストリートカルチャー”ともいわれた時代があった。メッセンジャーを仕事にして街をロードバイクで走っている姿もいまよりも多く見たような気がする。
そこから18年、常に進化したバッグ作りを追求し続けるberuf baggageのいまをクリエイティブディレクターの佐野 賢太さんにお話しいただいた。
メッセンジャーから意見を吸いあげ、追求したリアル
最初にブランドを立ち上げたころのお話を伺いながら、大ヒットしたberuf baggage初期モデルを見てみよう。「会社の新規事業としてバッグ作りをはじめようと思いました。私の両親がバッグの製作会社をやっていたこともあり、バッグを作りやすい環境にはありました。そのときの僕の生活の足が自転車だったこともあり、自然な流れで自転車中心のバッグ作りというのがはじまったんです。
当時は自転車に乗ってメッセンジャーの仕 事をしていた人が都内にすごくたくさんいて、独自のスタイルがあってかっこいいなと思っていました。
そこにインスパイアされてメッセンジャーバッグを作ろうと思い立ち、メッセンジャーの会社に電話をして、プロのメッセンジャーの方に会いに行きました。どんな感覚で使っているのか、どんな機能が必要なのかなど、ちゃんと見て知ってからものづくりに取り掛かりたかったんです。
とはいえプロ仕様のものを作りたかったわけではなく、街乗りで自転車を楽しむ人のためのものにしたかったので、見聞きした機能を足したり引いたりしながらberuf baggageオリジナルのメッセンジャーバッグを作りました」