父が愛した箔を絶やしたくない。20歳で決意した承継の裏側
最初に箔座株式会社・高岡製箔株式会社について、そして代表となられた経緯について教えてください。
会社を継ぐと決めたのは、20歳のときでした。
もともと金箔を扱う事業は、祖父が始めたものです。そのため幼い頃から家に金箔があるのが当たり前で、それが特別なものだとは思っていませんでした。祖父が初代社長を務めたのちは、父が2代目を務めました。
私は3姉妹の次女として育てられました。子どもの頃は、姉である長女が家業を継ぎ、3代目となるものだとばかり考えていました。
しかし姉はあるとき「自分のやりたいことをやる」と決意し、家業を継がないと宣言したのです。それを聞いた瞬間私は、「私がやるしかない」と覚悟を決めました。
当時の私は、金箔に特別な感情があったわけではありません。しかし子どもの頃から、父が金箔や会社に対して深い愛情を注いでいる様子を見てきました。父にとって金箔と、それを事業として展開する会社は大事な存在でした。
だからこそ、その愛を知っている者として、私は会社を絶やしたくなかったんです。
伝統的な「縁付金箔」を約4万枚使用した黄金の茶室