「畠山七宝製作所」が生み出す、光を��透す東京七宝
2025.03.24
「畠山七宝製作所」が生み出す、光を透す東京七宝
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東京都荒川区にある、小さな工房。その扉を開けると、静かな熱気とともに、七宝焼きの鮮やかな色彩が目に飛び込んでくる。東京で七宝焼きを手がける畠山七宝製作所では、200色以上の釉薬を使い、「透胎七宝(プリカジュール)」と呼ばれる難易度の高い技法にも挑戦している。
名古屋や京都の七宝焼きが広く知られるなか、「東京七宝」は工業製品にも活用されるなど、独自の発展を遂げてきた。そんな七宝焼きの魅力を現代にどう伝え、次の時代へとつないでいくのか。48年にわたって七宝焼きと向き合う代表の畠山弘さんに、その想いを聞いた。
PROFILE|プロフィール
畠山 弘(はたけやま ひろし)
畠山 弘(はたけやま ひろし)

1953年東京生まれ。大学卒業後に七宝焼き職人の父のもとで本格的な修業を始める。28歳のとき、父の後を引き継ぎ2代目となる。東京七宝の伝統技法を守りつつ、オリジナル作品として「透胎七宝」を生かしたアクセサリー製作に注力する。2005年、東京都伝統工芸士に認定。2023年、厚生労働省「現代の名工」受賞。

繊細な技術が要となる東京七宝

東京七宝とはどのようなものなのでしょうか?
七宝焼きは、金属の表面にガラス質の釉薬をのせ、高温で焼成することで生まれる工芸技法です。

一般的な七宝焼きは、釉薬が盛り上がり、立体的な仕上がりになることも多いのですが、「東京七宝」は比較的フラットなデザインが特徴です。

また、七宝焼きを作る際は、土台となる金属の表面に釉薬をのせるための溝があります。一般的な七宝焼きでは、この溝の深さは約0.8mmなのに対し、東京七宝はわずか0.4mm。溝が浅いからこそ技術も求められますが、繊細なデザインが表現できるんです。

畠山七宝製作所の創業について教えてください。
この工房を立ち上げた父はもともと、勲章のリボンを作る職人でした。しかし、戦後その仕事がなくなり、新しい道を模索するなかで七宝焼きと出会います。そして、庄司七宝へ弟子入りし、修行を重ねたのち、昭和26年に独立しました。

私も小学校高学年の頃から、七宝焼きを乾燥させるために、網の上に並べるといった簡単な作業を手伝っていました。子どもながらに「七宝焼きって、きれいで面白いな」と思っていましたね。
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