繊細な技術が要となる東京七宝
東京七宝とはどのようなものなのでしょうか?
七宝焼きは、金属の表面にガラス質の釉薬をのせ、高温で焼成することで生まれる工芸技法です。
一般的な七宝焼きは、釉薬が盛り上がり、立体的な仕上がりになることも多いのですが、「東京七宝」は比較的フラットなデザインが特徴です。
また、七宝焼きを作る際は、土台となる金属の表面に釉薬をのせるための溝があります。一般的な七宝焼きでは、この溝の深さは約0.8mmなのに対し、東京七宝はわずか0.4mm。溝が浅いからこそ技術も求められますが、繊細なデザインが表現できるんです。
畠山七宝製作所の創業について教えてください。
この工房を立ち上げた父はもともと、勲章のリボンを作る職人でした。しかし、戦後その仕事がなくなり、新しい道を模索するなかで七宝焼きと出会います。そして、庄司七宝へ弟子入りし、修行を重ねたのち、昭和26年に独立しました。
私も小学校高学年の頃から、七宝焼きを乾燥させるために、網の上に並べるといった簡単な作業を手伝っていました。子どもながらに「七宝焼きって、きれいで面白いな」と思っていましたね。