赤穂緞通の新たな価値を:トランペット講師・池上和子が受け継ぐ伝統と挑戦
2025.02.27
赤穂緞通の新たな価値を:トランペット講師・池上和子が受け継ぐ伝統と挑戦
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兵庫県赤穂市。古くから塩業が盛んだったこの町では、兵庫県伝統的工芸品に指定されている、赤穂緞通という敷物の産地だ。この地で赤穂緞通に関する活動を勢力的に行っているのが赤穂緞通工房 ギャラリー東浜。運営されている池上さんはトランペット講師として活動する傍ら、現在は赤穂の地で緞通制作を行っている。
なぜ池上さんは赤穂緞通の制作を始めたのか?そこには祖母との想い出が深く関係しているという。今回は同社が活動を始めた経緯や赤穂緞通の歴史、池上さんと赤穂緞通との出会い、そして赤穂緞通に込める想いについて、お話を伺った。
PROFILE|プロフィール
右:池上 和子(いけがみ かずこ)
右:池上 和子(いけがみ かずこ)

赤穂緞通工房 ギャラリー東浜
1983年生まれ。2006年京都産業大学文化学部卒業後、2011年NY州立大学トランペット科卒業。2012年に坂越工房で柳田緑氏に師事し、2016年に独立して赤穂緞通工房ギャラリー東浜を設立。以降、文化会館や九段ハウスなどで展示を行い、「クロワッサン」「an・an」などメディアにも掲載。2021年に「小窓緞通」を制作開始し、三越伊勢丹や韓国でも展示を実施。2024年11月にはフランス・パリで展示会を開催した。

赤穂緞通の価値を伝える“ギャラリー東浜”

最初に創業の背景について教えてください。
赤穂緞通を制作・販売する赤穂緞通工房 ギャラリー東浜(以下・ギャラリー東浜)ができたのは2016年のことです。

この地域では赤穂緞通が作られており、私の祖母は赤穂緞通の織元として活動していました。
時代とともに赤穂緞通が衰退していくなかで、最後まで織元として稼働していたのですが、日に日に悪化する状況には勝てず、やがて閉鎖してしまったそうです。そのような背景から、作り手はいつしか祖母の工房で働いてくださっていた1人の方を残すのみとなってしまったといいます。

その後、その職人さんである阪口キリエさんは赤穂市が開いた講習で赤穂緞通の作り方を伝えました。そして赤穂緞通は、その弟子となった方々が個人的に制作するものとして親しまれるようになっていったのです。

また私は、その弟子の柳田緑先生から技法を学び、東浜という会社で赤穂緞通の価値の保存、継承を行っていくこととなりました。2016年に赤穂緞通のギャラリー兼工房をオープンさせ、活動を始めました。

赤穂緞通の特徴はその模様です。吉祥文様という縁起を担いだ模様が多く、ギャラリー東浜でもその伝統を大切にしています。
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