
1953年東京生まれ。大学卒業後に七宝焼き職人の父のもとで本格的な修業を始める。28歳のとき、父の後を引き継ぎ2代目となる。東京七宝の伝統技法を守りつつ、オリジナル作品として「透胎七宝」を生かしたアクセサリー製作に注力する。2005年、東京都伝統工芸士に認定。2023年、厚生労働省「現代の名工」受賞。
畠山さんの子ども時代は、外遊びに明け暮れる毎日でした。学校から帰るとランドセルを放り出し、メンコやチェーリングといった遊びに夢中になります。汗まみれになりながら夕暮れまで遊び続ける日々。
「小学生の頃は外で遊ぶのが当たり前。家に帰っても、工房に足を踏み入れることはほとんどありません でした」
無邪気に駆け回っていた少年にとって、家業である七宝焼はまだ遠い存在でした。


転機は小学校3年生の頃。遊びや宿題の合間に工房を手伝うようになったことでした。
七宝焼は金属にガラス質の釉薬をのせ、800度前後で焼成します。研磨すると、ガラスのように透き通った色彩が現れます。
「網に並んだ作品を見て、赤や青、緑が光に透けて輝くのを見たとき、『あ、面白いな』と感じました」
最初はお手伝い感覚でしたが、焼成後に輝きを放つ作品を目にするたび、心は強く惹かれていきました。