【第2回】色と焼きの探求──現代の名工・畠山弘が語る東京七宝の奥深さ
2026.02.09
【第2回】色と焼きの探求──現代の名工・畠山弘が語る東京七宝の奥深さ
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車のエンブレムや校章といった実用品から、美術館に並ぶ作品まで。畠山さんの手から生み出される東京七宝は、日常に溶け込みながらも人々を魅了してきた。
七宝焼の本質は「色」にある。白をいかに濁りなく出すか、赤をいかに黒くせずに保つか。数百度の炎での焼成と研磨の作業を繰り返しながら、その一瞬の焼き上がりに全てがかかっている。
今回は、現代の名工としての選出や、独自に編み出した技法「プリカジュール」への挑戦を通して、畠山さんの技術の深まりと探求の姿を追う。

現代の名工に選ばれて

東京都から「東京マイスター」を受賞したのち、畠山さんは現代の名工としても表彰されました。しかし本人は、「僕でいいのかな」と戸惑いを覚えたといいます。

「私の仕事は工芸作品というより、車のエンブレムや社章、校章といった実用品が多いんです。そういうもので現代の名工に選ばれていいのかな、という気持ちはありました」

それでも、自らが続けてきた仕事が評価されたことに、確かな手応えを感じました。特に都の「東京手仕事」で都知事賞を受賞した経験は、大きな自信となりました。

白をいかに美しく出すか

七宝焼の色彩表現は、釉薬の性質と焼成の加減で決まります。中でも、もっとも難しいのが「白」です。

「白がきれいに出るかどうかが作品を左右します。少しでも不純物が入ると黒い点が出たり、黄色っぽくなったりしてしまう。だから検品も慎重に行うんです」

透明感を保ちながら真っ白に仕上げるのは至難の業。数え切れない試行錯誤を重ねて培った技術の結晶でした。

独自に編み出したプリカジュール

七宝焼には「プリカジュール」と呼ばれる技法があります。透明な釉薬を使い、ガラス細工のような透け感を出すものです。もともとはフランスで考案されましたが、畠山さんは誰にも習わず自己流で取り組みました。

「普通は平らな面に施すのですが、私は斜めに立てかけて焼く方法を編み出しました。台を使わず、少しずつ強度を上げながら焼く。これをやっているのは多分私だけだと思います」

その技法は指輪やアクセサリーなど立体的な作品にも応用でき、ジュエリーブランドから依頼を受けるきっかけにもなりました。