100%天然漆で食卓を守る若狭塗箸──兵左衛門の“本物へのこだわり”
2025.06.29
100%天然漆で食卓を守る若狭塗箸──兵左衛門の“本物へのこだわり”
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若狭塗は、福井県小浜市(若狭地方)で江戸時代から続く伝統工芸だ。アワビ貝や卵殻、松葉をあしらった重厚なデザインは唯一無二で、日本の塗箸の約80%を占めると言われる。
福井県小浜市に本社を構える「株式会社 兵左衛門」は、職人の手作業で一膳一膳丁寧に若狭塗箸の製造を行う。「口に入るお箸は食べ物である」という信条のもと、下塗りから仕上げまで100%天然素材の漆だけを使うという。
今回は、同社が“本物”にこだわってものづくりに向き合い続ける理由を、会長の浦谷さんに伺った。
PROFILE|プロフィール
浦谷 兵剛(うらたに ひょうごう)
浦谷 兵剛(うらたに ひょうごう)

株式会社兵左衛門 代表取締役会長

1945年福井県生まれ。

長年にわたって箸のもつ奥深さ・文化性を唱え、各地で啓発活動を重ねる。小学校での「お箸知育教室」の開催、ボランティア活動として「阪神・淡路大震災」「東日本大震災」など被災者へ箸を寄付。箸文化認知を高めるため日枝神社の箸感謝祭に協力。アオダモの保護育成運動に参加。平成18年 小浜市 特別功労賞受賞。座右の銘は「努力」。愛妻家。

素朴な疑問が変えたものづくり

兵左衛門がお箸づくりに携わるようになったのは、浦谷岩蔵氏(現会長の父)が若狭塗箸の製造に従事したことがはじまりだ。その後、1960年に「浦谷兵左衛門」として製造販売業をスタートした。

同社がお箸の安全性を見直しはじめたのは、1970年頃のことだ。「子どもが箸先でお絵描きをしているけれど、塗料が落ちても大丈夫?」——そんな母親の問いが転機となった。

「世の中にある塗箸は、プラスチックの塗料を使っているものがほとんどです。当時は弊社でも何の疑いもなく合成化学塗料を使用していました。

しかし、そのお母さんの素朴な疑問から、『本当の安心とはなにか?』を考えるようになりました。それ以来、『口に入るお箸は食べ物である』という考えのもと、“本物”にこだわったお箸づくりに取り組んでいます」

同社は、混じりけのないピュアな漆を「ヴァージン漆」と商標登録し、「製造するお箸の箸先には、ヴァージン漆しか使用しない」という高い安全基準を設けてお箸づくりを行っている。
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