ヨーロッパの伝統技法との融合:五十崎社中が創造する「大洲和紙」の新たな価値
2025.02.17
ヨーロッパの伝統技法との融合:五十崎社中が創造する「大洲和紙」の新たな価値
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愛媛県内子町五十崎で受け継がれてきた「大洲和紙」。その歴史は350年前にまで遡り、大洲藩の収入源として栄えていったという。そんな大洲和紙とギルディングを融合させ、和紙に新たな息吹を吹き込む職人がいる。五十崎社中代表の齋藤宏之さんだ。
ギルディングとは、陶器や木材、布、紙などの上に金属箔による装飾を施すヨーロッパの伝統技法。遠く欧州に古くから伝わる技術と、日本の伝統工芸である和紙はどのようにして出会い、今に至るのか。和紙の新たな価値を模索し続ける齋藤さんにお話を伺った。
PROFILE|プロフィール
齋藤 宏之(さいとう ひろゆき)
齋藤 宏之(さいとう ひろゆき)

神奈川県海老名市生まれ。日本大学理工学部物理学科卒業 。大学卒業後、通信系IT企業へ就職。システムエンジニアとして10年間、企画・営業として3年間勤務。2008年7月、愛媛県内子町五十崎にて株式会社五十崎社中設立。JAPANブランド登録事業社として主に五十崎手漉き和紙を使った製品の製造・販売を行う。いわゆる“Iターン起業”にて奮闘中。

システムエンジニアから和紙の世界へ

御社の創業の経緯について教えてください。
私は神奈川県海老名市出身で、移住前は東京の通信系企業に勤めており、システムエンジニアや企画営業として13年ほど従事していました。

妻はここ五十崎の出身で、実家は代々造り酒屋を営んでいました。創業のきっかけは、商工会のメンバーであり、内子町の伝統的な手漉き和紙を盛り上げたいと考えていた義父から声をかけてもらったことです。

大洲和紙を盛り上げたいという気持ちは、商工会全体で考えていたことだったんですね。
はい。町全体として考えてはいたものの、職人の高齢化や和紙需要の減少という問題に直面していました。

そのなかで2006年に、商工会が中小企業庁の「JAPANブランド育成支援事業」に採用されたんです。端的に言えば、日本の伝統的なものづくりの技術を生かした商品を作り、国内外に売り出していこうという事業ですね。

商工会はその事業の一環としてフランスで開催されていた「メゾン・エ・オブジェ・パリ」という国際的なインテリア・デザインの見本市を見に行きました。
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