自然��循環型のものづくりに取り組む、草木染工房 瓶屋
2023.11.01
自然循環型のものづくりに取り組む、草木染工房 瓶屋
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私たちの身近にあるカラフルな衣類や服飾雑貨は、化学染料(合成染料)を使用して染色したものが多い。しかし、化学染料が普及する前は、身近にある植物などの天然染料を使って染色されるのが一般的だった。実は、「草木染め」という言葉は日本古来の言葉ではない。明治時代に化学染料が伝わり普及し、日本古来の染め方と新しく入ってきた化学染料による染め方を分けないと、伝統文化が守れないという思いで山崎斌(やまざきあきら)氏により「草木染め」の言葉を作られた。
日本古来の草木染めの伝統をつなぎ、その魅力を伝えたいと活動しているのが、山形県山形市にある草木染工房 瓶屋だ。染色に使用する草木を同店が所有する染料畑で無農薬で育て、主に山形の和紙やシルクなどを染め、作品作りを行っている。また、染めに使った草木や水は土に還し、自然循環型の取り組みをしており、2020年にはグッドデザイン賞を受賞したのも大きな特徴だ。
今回は、同店を営む佐久間政子さん、浩さんにインタビューを実施。同店の取り組みや草木染めの魅力などを伺った。
PROFILE|プロフィール
佐久間 政子(さくま まさこ)

1975年(昭和50年) 畑に花畑を作る
1983年(昭和58年) 故・笹原節子氏に紅花染めを師事
1990年(平成 2年) 草木染工房 瓶屋 開店
1992年(平成 4年) 山形県美術展にて県展賞を受賞
2021年(令和 3年) 山形市伝統的工芸産業技術功労者褒賞

PROFILE|プロフィール
佐久間 浩(さくま ひろし)

2008年(平成20年) コンピューター関連の会社を退社しこの職業へ
2020年(令和 2年) グッドデザイン賞 (地域・コミュニティづくり)を瓶屋として受賞

草木染めの醍醐味は、自分自身で育てた植物を使うこと

お店を立ち上げた経緯を教えてください。
政子 「草木染めを始めたきっかけは、40年程前に草木染めの中でも紅花を専門にしている先生と出会ったことです。子育てが一段落した頃に、その先生から紅花染めを習いました。

本格的にお店を開いたのは、自宅の建て替えの話が出たとき。建て替えとともにお店を作ることになりました。33年前に草木染めのお店を構えたものの、趣味でやっていたこともあり、初めは『収入を上げよう』という気持ちは薄く、純粋に草木染めが楽しくて『畑仕事をしながら暮らそう』と思っていたのです。」

 「以前はコンピューター関係の仕事をしていましたが、元々ものを作る事が好きだった事と、『母が作り上げた染料畑を残したい』と考えたのをきっかけに、母の仕事を手伝うことにしました。私は東北芸術工科大学に研究生として入り、1年かけて草木染めについて学びました。」

現在、お店ではどのような草木を使用して染色されているのでしょうか。
政子 「当店が所有する染料畑で無農薬栽培した紅花や藍、日本茜などの草木を使い、主に山形の和紙やシルク、山形県産繭、麻などを染め上げています。当店の作品や商品は、すべて手仕事で仕上げているのが特徴ですね。

まず畑で育てたのは、ハーブです。娘が東京でハーブの勉強をしていたので、いろいろ教わりながら育て始めました。初めて植えたのは今から30年以上前なのですが、当時は山形で育つ植物なのかどうかさえ分からなくて。とにかくいろいろな場所に植えていたため、「ここでは育ったけど、ここでは育たないな」という経験もたくさんしました。試行錯誤の末、今の畑が出来上がったのです。

私が育ててきたハーブなどの草花の他、息子が大学で習った染料植物も少しずつ取り入れてくれたので、育てる草木の種類が徐々に増えていきました。

今は息子が管理する畑と合わせ2,000坪ほどの畑があるので、紅花の他にもいろいろな植物を育て、古典的な染めから現代的な染めまで幅広く行っています。畑を作った理由は、自分で育てた草木を使って染めたかったから。草木染めを行っている人は、そう考える人が多いと思います。ただ、育てるための場所がないことがほとんど。幸い田舎ですので、多くの草木を植えることができました。」
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