アウトドアから都市生活までさまざまなシーンで選ばれるアウトドア・フットウエアブランド「KEEN（キーン）」。ブランドの誕生当時から革新的なサンダルやシューズをリリースし、アウトドアの枠を超えファッションシーンでも支持されている。
数あるアイテムの中から今年10周年を迎える「UNEEK（ユニーク）」というモデルを掘り下げていきたい。今回はキーン・ジャパン合同会社 Insight & Engagement/PR 種田聖子さんと、Merchandising/Product Senior Specialist 青木泰裕さんにお話を伺った。
つま先を守れるサンダルがKEENの出発点
KEENというブランドがはじまったストーリーから伺っていきたい。ブランドスタートの経緯や創業者の想いなど、種田さんにお話しいただいた。「創業は2003年のアウトドア・フットウエアブランドで、アメリカ・オレゴン州 ポートランドに本社があります。ここでいう“アウトドア”ですが、天井のないところ全てを指し、キャンプやトレッキング、野外フェスだけではなく、街での暮らしもアウトドアとして、サンダルとシューズ、陸と水、ファッションと実用性など、異なる概念をハイブリッドしていく、汎用性の高い商品を展開しているのがKEENというブランドです」
「創業者はRory Fuerst（ローリー・ファースト）という人物で現在もトップを務めております。
彼が大学時代、アッパーはまだまだ使えるのにソールだけが消耗しているからという理由で廃棄してしまうテニスシューズがもったいないという想いでソール貼り替えの事業をはじめたことがビジネスのスタートでした。
ある日、友人がビーチサンダルでつま先を怪我したことをきっかけに『“つま先を守れるサンダル”を作れないだろうか』という疑問を抱き、“発明”したのがKEEN第1号プロダクトとなる『NEWPORT（ニューポート）』というアイテムです。“！”マークがついたつま先は『トゥ・プロテクション』といい、その後さまざまなKEENの製品に採用されることになります」
原点から考え直し誕生させた22世紀のスニーカー
ここからは今年10周年を迎えるUNEEKについて伺っていこう。開発時のエピソードから10年間で進化したさまざまなモデルについて、青木さんにお話しいただこう。「UNEEKの開発者は創業者Rory氏の息子、Rory Fuerst Jr.（ローリー・ファースト・ジュニア）という人物で、“原点から考え直し誕生させた22世紀のスニーカー”というテーマをたてて開発に臨んだそうです。
携帯電話のブラックベリーを使っていて、世の中に今までなか ったiPhoneが誕生したときに絶対に必要だと思っていた携帯電話の必要要素のひとつであるキーボードをなくしたという、センセーショナルな出来事があり、そこからインスピレーションを受け、従来の靴作りのアップデートではなく、まったく違うデザインアプローチが必要と考え、開発に着手しました。
足に対して生地や革を面で覆っていくというものではなく、『足を線で覆うとフィット感が増すのではないだろうか』という発想で0ベースからの開発がはじまり、繰り返し、繰り返し、試作を続け2本のループを組み合わせてアッパーが可動する『プルスルーコンストラクション』を発明します。
ループ状になったボトムにあるコードをフットベッドの下でもう1本のコードに通すという製法なのですが、この部分には接着剤を使う必要がないので、接着剤の軽減にもつながる世界でも他にないものが出来上がりました」
完成された今までどこにもなかった靴、オープンエア・スニーカーUNEEK
ここまで開発のお話を伺ってきたが、完成されたUNEEKについてさらに深掘りしていこう。「開発から3年半が経ちUNEEKのファーストモデルがリリースされます。このUNEEKには父親であるRory氏が最初に作ったNEWPORTをポイント的に踏襲していまして、ワンタッチで締緩できるバンジーコードシステムや、肋骨のようなフォルムがどんな足の形でもフィットするという部分などが共通のテクノロジーとして引き継がれました。
こうして、サンダルの快適性に、スニーカーのような履き心地のソールシステムをハイブリッドした“オープンエア・スニーカー”が2014年に“発明”され、のちにKEENを代表するアイテムとなっていきます」
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