漆芸家。1994年 群馬県高崎市生まれ・在住。東京藝術大学美術学部工芸科 大学院修了。螺鈿・蒔絵・平文・乾漆などの漆技法で作品を制作。
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佐野さんは群馬県高崎市に生まれ育ち、現在も作品制作の拠点を置いている。伝統工芸の道に進むきっかけは、とても素朴な出会いだった。
「幼いころから、手を動かして何でも作ることが好きでした。はじめて伝統工芸の作品を目にしたときは驚きましたね。見る角度によって赤や緑や青の光が、色を変えながら動いている。この美しいものは何だろうと」
それが「螺鈿」だった。貝殻を極薄に切り取り、漆を塗った木に貼りつけ、さらに漆でコーティングしたあと表面の漆を研ぐことで、貝の輝きが浮かび上がる。奈良時代に中国から日本に渡って独自進化した漆技法。その技も知らないまま強烈に惹かれた。しかし、佐野さんがまず目指したのは工芸作家ではなく、機械エンジニアだったという。