日本の美 意識とセンスが結集する伝統衣装、着物。柄や組み合わせに美術品のような繊細さが宿り、衿や帯締めにも華麗な技が光る。
洋服文化が流入して久しいが、その着物の魅力は今、新たな形で蘇る。着物のリメイクブランド「
keniamarilia(ケニアマリリア)」がそれだ。同ブランドのデザイナー、ブラジル人の座波ケニアさんは幼い頃から着物に魅了され、その魂を込めて着物を再構築し、日常使いできる洋服として蘇らせた。
彼女の目を通して、日本人の着物愛とその魅力が明らかになる。日本の伝統が息づき、美の精神が凝縮されたkeniamarilia。その煌めきが、世界中の人々に改めて着物の価値を提示している。
PROFILE|プロフィール
座波ケニア
ブラジル、サンパウロ生まれ、幼少期に日本へ移住。服飾の専門学校を卒業後、アパレル会社にて営業生産管理デザイン担当のちフリーランスを経てHEAVENESE専属衣装デザイン担当、2019年6月に着物アパレルブランド「keniamarilia」を立ち上げ。
着物リメイク事業を立ち上げた2つの転機
座波様が着物に着目した背景について教えてください。
私は外国籍ですが、4歳の頃から日本に住ん でいます。その頃から服が好きだったので、小さな頃からリカちゃん人形の服を作るなどしていました。そんな私の姿を見た親から「服を作ってみない?」と言われ、そこから服作りを始めたんです。その結果、ますます服に興味を持ち、小学生の頃にはすっかり夢中になっていました。
そんななか、町内の成人式で初めて本物の着物をみて魅せられたのです。「日本にはこんなに美しいものがあるんだ」と驚き、一気に着物に興味が湧きました。