美しい佇まいと心地よさを追求�して:随所に匠の想いが宿る小宮商店の洋傘
2024.12.02
美しい佇まいと心地よさを追求して:随所に匠の想いが宿る小宮商店の洋傘
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気分が憂鬱になりがちな雨の日。お気に入りの傘があれば、気分が晴れやかになるだけでなく、雨の日さえ待ち遠しく感じるようになる。これこそが、傘の持つ力なのではないだろうか。
傘を広げたときにカチッと鳴る音、手に持ったときの心地よい質感、閉じるときのなめらかな動き、そして美しいフォルム。そんな「つくりのよさ」にこだわった日本製の傘を作り続けているのが、東京・日本橋に拠点を置く「株式会社小宮商店」だ。
長年の努力が実り、2018年には「東京洋傘」が東京都の伝統工芸品に指定された。小宮商店は明治時代から続く伝統的な製法を守り、現代へと繋げている。今回は、三代目当主の小宮宏之さんと、洋傘職人の田中一行さんに、洋傘の魅力やこれまでの取り組みについて話を聞いた。
PROFILE|プロフィール
小宮 宏之(こみや ひろゆき)
小宮 宏之(こみや ひろゆき)

株式会社小宮商店 三代目当主。1969年生まれ。2000年に入社後、甲州織を用いた伝統的な製法による日本製傘の発展に尽力。 2018年には東京洋傘が東京都の伝統工芸品に選出され、小宮商店では熟練職人2名が東京都伝統工芸士として認定。現在では、30〜40代の職人たちがその後継者として技術を受け継いでいる。

PROFILE|プロフィール
田中 一行(たなか いっこう)
田中 一行(たなか いっこう)

株式会社小宮商店 製造部所属。異業種から傘業界に飛び込み、傘職人歴は13年。自社工房での傘製造に加え、後進の育成にも力を注ぎ、ワークショップやイベントなども担当している。

受け継がれてきた東京の傘づくりを伝える

小宮商店で製造している洋傘の特徴を教えてください。
小宮 当社は1930年の創業から90年以上にわたり、明治時代から受け継がれた製法で、職人が1本ずつ手作業で洋傘を仕上げています。

たとえば、傘を開くときに手を傷めないよう、傘を開く際に指で押し上げる「ロクロ」と呼ばれる部分を生地で覆う「ロクロ巻き」や、骨が生地にあたる「ダボ」と呼ばれる部分を生地で保護する「ダボ巻き」を施しています。

こうした構造上の手間がかかるため、大変ではありますが、見えない部分にまでこだわり、一本一本丁寧に製造しています。

長年ご愛用いただいているお客様の中には、10年以上お使いの方もいらっしゃいます。骨などを損傷してしまっても当工房で修理を承っており、修理を重ねながら長くご愛用いただけるのも特徴です。使い込むほどに、つくりのよさを実感していただける傘だと思います。
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