日本の伝統的な美意識と職人の感性が融合:毎田染画工芸がつなぐ加賀友禅の歴史
2025.04.28
日本の伝統的な美意識と職人の感性が融合:毎田染画工芸がつなぐ加賀友禅の歴史
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石川県金沢市にある毎田染画工芸は、伝統工芸・加賀友禅の制作を行っている工房だ。加賀友禅の起源は約500年前。誕生のきっかけは、紅梅の樹皮や根を煎じた汁で染め物をする金沢独自の染色技法「梅染(うめぞめ)」だという。
長く受け継がれてきた染めの伝統を、毎田染画工芸は3代にわたって受け継いでいる。今回は、同社の取り組みをはじめ、加賀友禅の特徴や制作工程についてお話を伺った。
PROFILE|プロフィール
毎田 仁嗣(まいだ ひとし)
毎田 仁嗣(まいだ ひとし)

略 歴
平成十年 父毎田健治に師事(昭和四十九年 金沢市生れ)
平成十二年 加賀友禅技術保存会展 新人賞
平成二十七年 金沢市工芸展 金沢市長最優秀賞
加賀友禅新作競技会 伝統的工芸品産業振興協会長賞
星野リゾート界加賀 室内装飾制作
平成二十八年 フロリダ州 ディズニーワールド内 ユニクロ ディスプレイ制作
平成二十九年 三笠宮寛仁親王妃信子殿下 工房御台臨に際し、御手造の栄誉を賜る
平成三十年 第六十五回日本伝統工芸展入選 以降入選
令和三年 第七十七回現代美術展 美術文化準大賞
第六十一回石川の伝統工芸展 日本工芸会賞
令和四年 日本工芸会正会員に認定
国際交流基金ロンドンにて作品展示、講演
令和五年 第七十九回 現代美術展 審査員
金沢市文化活動賞
令和六年 第八十回 現代美術展 美術文化準大賞

着物を飾ったときも、着たときも美しくなるように

まず、御社について教えてください。
当工房は1932年に創業しました。金沢には130ヶ所ほど友禅の工房があるのですが、基本的にすべて分業で制作しています。そのようななか、当工房では一貫生産を行っています。

当工房のもの作りは、まず取材からスタートするんです。たとえば、兼六園をテーマにするときには実際に兼六園に足を運び、写真を撮ったりスケッチをしたりします。高山植物をモチーフにするときは白山や北アルプスへ、水の絵柄を作るときは海や滝を見に現地へ足を運びます。同じ場所でも、やはり季節によって空気の匂いや咲いている花などが違うので、その場の表情が変わるんです。そのなかで特に感動したものを取り上げて着物を作り上げていくのが、私たちの仕事です。

インターネットで調べたり、図鑑を見たりするといろいろな情報が手に入りますが、それらは”誰かの感性で捉えたもの”ですよね。なので、実際に足を運んで“自分自身がどう感じたのか”を大切に制作するようにしています。
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