「美濃和紙を次の千年へ」——丸重製紙が挑む“伝統のアップデート”
2026.01.14
「美濃和紙を次の千年へ」——丸重製紙が挑む“伝統のアップデート”
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1,300年の歴史を持つ美濃和紙。その伝統を背負いながらも、次の時代を見据えて動き出している職人がいる。岐阜県美濃市にある丸重製紙企業組合の3代目、辻晃一さん。祖父が戦後に立ち上げた工場を継ぎ、和紙産業の再構築に取り組む経営者だ。「守るだけでは、伝統は続かない」静かにそう語るその目には、確かな覚悟が宿っている。
PROFILE|プロフィール
辻 晃一(つじ こういち)
辻 晃一(つじ こういち)

使命「美濃と和紙を元氣にする」。
家業である機械抄き美濃和紙メーカー丸重製紙企業組合の代表理事。2019年に直営店舗である和紙専門店「Washi-nary」をオープン。
その他、みのまちや(株)を設立し古民家ホテル「NIPPONIA美濃商家町」を運営、みのシェアリング株式会社を設立しシェアオフィス「WASITA MINO」を運営、美濃市観光協会の副理事長、NPO法人Earth as Mother岐阜の副理事長、など。
美濃市における「持続可能な地域循環共生圏」構築を目指す。

美濃和紙は、僕への挑戦状なんです

「美濃和紙って、僕にとって“挑戦状”なんです。祖父の代から続く家業を継いだ瞬間から、“お前がどうにかしてみろ”と言われているような気がして」

丸重製紙は、1951年に辻さんの祖父が設立した。地域の職人たちが出資し合い、手すきから機械すきへと移行するなかで生まれた企業組合だ。戦後の紙需要の拡大に伴い、提灯原紙や謄写版原紙などを主力に製造を続けてきた。その後は、懐紙原紙や防虫剤の包装紙、さらには和紙文具用原紙などに主力製品は移っていった。しかし、時代の変化は容赦がない。ほとんどの主力製品が年々売上は減り、防虫剤の包装紙は不織布に取って替わられ、更にコロナ禍を機に売上減少が加速するという試練にも直面した。

「辞めたほうがいいんじゃないかと思ったことは、正直何度もあります。でもやっぱり、“このままでは終われない”という思いがあるし、希望もたくさんある。僕にとって美濃和紙は、逃げられない存在なんです」

辻さんは穏やかに笑いながらも、その言葉には芯の強さがある。“挑戦状”という表現には、彼が美濃という土地と真剣に向き合い続けてきた年月が込められている。